登録販売者試験に「合格すること」と、登録販売者として「うまく働くこと」は大きく違います。
私は薬剤師試験に合格後、働き始めた際に
「試験に出てくる知識ってまったく役に立たない」と感じていました。
働いている内に、「知識が使えないのではなくて、現場で求められるレベルに達していない」ことに気が付きます。
今回は、登録販売者試験に合格してからやるべき4つのポイントをご紹介します。
是非参考にしてください。
(所要時間 8分)
その他、「登録販売者が信頼される3つのポイント」も併せてご参考にしてください。
登録販売者試験に「合格すること」と「働くこと」の違い
「合格すること」と、「働くこと」には大きな違いがあります。
実際に働くことに対し、不安を感じている人も大勢いると思います。
しかし、購入者・患者さんは初心者とベテランを区別することはありません。
登録販売者見習いであろうと、登録販売者ベテランであろうと、一人の登録販売者として見ています。
そこで、試験の内容と働く知識の違いについて、説明していきます。
大きな要因として、下記のようなことが一番最初の壁となります。
- 「試験では成分名で問われますが、実際に使用する薬は商品名であること」
- 「試験には用法がほとんど出てこないこと」
- 「適応症は理解していましたが、患者さんの訴えは適応症通りには伝えてはくれないこと」
- 「同じ効果の成分の違いがわからない」
- 「一般用医薬品は成分が複数入っている」
そして、店舗によっては、
「働き方」については教えるが、「一般用医薬品の知識」については、自己学習してください。
と言われてしまうこともあると思います。
上記5つの中で、最初に重要な点は、成分名と商品名の違いです。
これを結びつけないと、3章及び5章の知識は全く役に立ちません。
現在は誰でも「添付文書」を閲覧できます。
3章の知識を十分に活用した上で、商品の勉強をしないと、働く上で購入者に有用な情報提供するまでに、とても時間が掛かります。
その他にも、
「朝食食べないんだけど、朝食後の薬はいつ飲めばいい?」など、
試験には一切出てこない内容に当初私も困った経験がありますが、まずは成分名と商品名を結び付けましょう。
なぜ働き始めてからではなく、登録販売者合格後に勉強した方がいいのか?
これは皆さんすぐに想像できると思いますが、
「知っている」のと、「実際に勉強として行動に移す」のでは大きく違うため、あえて記載いたします。
私もそうでしたが、試験終了後に勉強するのは本当に嫌だと思います。
私自身も薬剤師として働くまで、何も勉強しませんでした。
働き始めると、薬学的知識以外に働く上で多くのことを覚えなくてはなりません。
同僚の名前や、勤務の流れ、そして取り扱う商品名
これらを覚える間に、簡単に成分名は忘れてしまいます。
例えば、
「エスタックイブ」=総合かぜ薬
このように、成分名を飛ばして、商品名と商品の特長や、薬効を覚えてしまいます。
そのため、実際に購入しようとする人でもわかるような、パッケージに記載されている宣伝情報を披露することとなってしまいます。
知識が残っている内に、準備することを強くお勧めいたします。
登録販売者試験合格後に勉強すべき4つのポイント
では実際に何を勉強すればよいのか?
優先順位順に解説いたします。
ポイント1:成分と商品を結び付ける
これは前述した通り最重要ポイントです。
ポイント2:商品の違い、成分量の違い
同一効果(例えば:かぜ薬)の商品の成分の違い、成分量の違いを予習しておきましょう。
全て勉強する必要はありません。
セルフメディケーションにおいては、
「かぜ薬、花粉症等のアレルギー性鼻炎、酔い止め、胃薬、下痢止め、皮膚の湿疹及びかゆみ止め」
これらの代表的商品の違いをざっくり勉強しておきましょう。
ポイント3:用法の違い
またできれば、上記商品の用法を見ておきましょう。
医薬品を使ったことがあればわかると思いますが、
1日1回か、2回か、3回かは、購入の判断材料として大きい問題です。
特に、1日1回でいい薬は使用者にとって大きなメリットになります。
ポイント4:受診喚起
最後に受診喚起について
一般用医薬品において、この受診喚起の判断が一番線引きが難しいのではないかと思います。
副作用歴や基礎疾患の有無についての判断は難易度が高い項目であるが、セルフメディケーションでは重要なポイントです。
登録販売者合格後のおすすめ参考書3選
ここでは、上記ポイントの勉強にあたり、お勧め参考書を記載しますが、
決して購入自体をお勧めするものではありません。
ただ、仕事を始めると、どうしても業務上参考書が必要だと感じると思います。
私自身も家に何冊も医療参考書がありますが、どうせ買うのであれば、失敗しない参考書を選んで頂きたいため記載しておきます。
ここでは、総合評価を5段階(★☆☆☆☆~★★★★★)で表しています。参考にしてください。
1)現場で使える 新人登録販売者便利帖 症状から選ぶOTC医薬品 (現場で使える便利帖)
仲宗根 恵 (著)
メリット
・読みやすい
・商品名=成分名の記載あり
・用量は一部記載あり
・ケーススタディーあり
デメリット
・用法・用量の記載がない
こんな人におすすめ
・入門書として学習するにはベストだと思います。
総合評価
★★★★★
2)今日のOTC薬(改訂第4版): 解説と便覧
伊東 明彦 (編), 中島 恵美 (監)
メリット
・症状からの受診喚起や薬剤選択までフローが記載されている。
・商品名=成分名の記載あり
・成分量が記載されている。
・細かく詳細に記載されている。
デメリット
・この一冊を勉強するといった内容量ではない
・用法なし
こんな人におすすめ
辞書代わりに、勤務中のトラブルシューティングとしても使いたい方
総合評価
★★★★★
3)現場で使える 薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖 (現場で使える便利帖)
杉山 卓也 (著)
メリット
・教科書のように勉強できる。
・漢方についての基礎から学べる
・症状からの代表的な漢方の記載あり
・カウンセリングの注意点あり
・読みやすい
デメリット
・漢方に特化しているため、初めの1冊としては不向き
こんな人におすすめ
漢方を体系的に勉強したい方
総合評価
★★★★