登録販売者にとって接客・相談対応は一番の活躍の場であると同時に働く上で一番難しい点であると思います。
コミュニケーションの方法の一つに、クローズドクエスチョン、オープンクエスチョンと言う方法がありますが、あまり実践的でないと感じています。
正確にはそれだけでは、信頼を得られないと言うことです。
薬剤師として勤務し、何百回のクレーム対応をしてきた経験を基に、どう対応すれば信頼を勝ち得るのか、納得してもらえるのかについて、私なりの方法をご紹介いたします。
登録販売者が信頼される接客3つのポイント
その他:登録販売者試験に合格してからやるべき4つのポイントはこちらへ
(所要時間 8分)
信頼されるコミニケーションの重要性
限られた時間の中でコミニケーションを行い、信頼を得ることは非常に重要です。
それは、購入者(お客様、患者さん)のみに限らず、上司や同僚、またはプライベートに至るまで、必要不可欠だと思います。
特に医薬品の購入者は体に何らかのトラブルがあって来ています。とてもハッピーは気分とは言えません。
だからこそ、一度信頼を得られれば、とても友好的に相談対応を進めることができます。
ピンチはチャンスであり、
チャンスはピンチです。対応一つで、反応は激変します。
クローズドクエスチョン、
オープンクエスチョンとは
クローズドクエスチョン、オープンクエスチョンとは、円滑なコミュニケーションを取る一つの手段です。
クローズドクエスチョン:
Yes.Noで答えられる質問のことです。
回答しやすいため、欲しい情報が得やすい質問です。
しかし、会話が長続きしない質問でもあります。
オープンクエスチョン:
相手が自由に答えられる質問です。
会話が広がりやすく、想定していないキーポイントを聞き出せる質問です。
しかし、ある程度の信頼関係がないと、なかなか引き出すことは難しい質問でもあります。
「これらを上手に組み合わせながら、会話を進めていきましょう。」と記載しているのが、よく参考書や教科書の内容です。
しかし、これだけでは、全く実践的ではありません。
実践的でない理由
登録販売者が信頼を得るためには、まず相手のニーズを考えましょう。
体の不調を直すために、必要な情報を得たくてコミニケーションすることがほとんどだと思います。
それを踏まえると、登録販売者は信頼を得やすい立場である反面、普段まったく知識のない薬を買わされるのに、抵抗を示す人も多いと思います。
例えば
パソコン初心者のあなたが、パソコンを買いに行くことを考えてみてください。
店員に訳のわからない機能を分かり易い言葉で説明されて、「だからこれがお勧めです。」と言われてあなたは素直に買うでしょうか?
口コミ・レビューをインターネットで検索する方が多いと思います。
つまり、信頼度を得ることは、そう簡単ではないと言うことです。
また医薬品が厄介なのは、口コミ・レビューが規制されている点、体調・体質は千差万別でそれぞれ違う点です。
そして何より、医薬品に対する知識を薬剤師・登録販売者が全て知っている訳ではないことも最大のネックだと思います。
これらの点で、「クローズドクエッション、オープンクエッションを駆使してコミュニケーションを円滑に進めましょう」と言うわけにはいきません。
登録販売者が信頼される接客3つのポイント
1.合理的にお互いがWinWinな関係にあることを説明する。
会話の冒頭でなくて構いません。合理的にWinWinな関係であることを説明できれば、信頼度はかなり上がります。
例えば、
タクシーに乗った時、ついつい遠回りされていないか、疑ったことがあると思います。
そんな時に、タクシー運転手から、
「遠回りするより、早くついて、次のお客を早くGETした方が、私たちの稼ぎも良くなるんです。」
こう言われたらどうしょうか?合理的にお互いのWinWinな関係が成り立ち、信頼度が上がると思いませんか?
登録販売者であれば、
「お店に来て下さったお客さんに副作用は出させたくないので」と言えたら、信頼度が上がると思いませんか?
ぜひ何処かのタイミングで使ってみましょう。
2.知っている関連内容を伝える。
私自身、薬のことを全て知っているとは思っていません。むしろ知っている内容の方がごく一部だと思います。
働く上で、勉強していくことは大切ですが、知らない内容にどう対応するかが重要です。
問われている内容の知識がない場合は、知っている関連内容をまず伝えてください。
その後、本当に問われている内容については、「詳しく調べますね」と伝えて上げてください。
これを初めから、「少し調べますね」では、何も知らない人だと思われてしまいます。
一言、二言が信頼に繋がります。
知らない内容は調べて構いません。知識があると思ってもらえれば、逆に時間を使ってまで調べてくれる人だと、より信頼を得れます。
3.アジャスト(調整)する
これが最も大切だったりします。
例えば、
車の運転で想像してください。
運転教本が正しくて、教本を全て覚えたとしましょう。
この人は事故を起こさないでしょうか?
マニュアルや一般的知識が正しくて、その内容を覚えたとしても、運転中、状況に応じてアジャスト(調整)できなければ、事故に繋がります。
医薬品販売時にも同じことが言えます。
登録販売者で言えば、
購入者から、「朝は何も食べないけど、朝食後の薬は飲んでいいですか?」と言われたらどうしますか?。
適応通り、「朝ご飯を食べてください。」で信頼を得られるでしょうか?
医薬品によっては、必ず朝食後に取るべき薬剤もあるでしょうが、全てではありません。
例えば、「朝ご飯の代わりに、野菜ジュースや牛乳を飲んでから内服することをお勧めします。」
「野菜ジュースや牛乳と飲み合わせに問題がない薬を、少し調べますね。」と言えば、
購入者もよっぽど急いでない限り、待ってくれます。
このように、状況に応じアジャストできるかが、信頼を得るために重要なポイントです。