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1章:医薬品に共通する特性と基本的な知識

第1章-4日目:Ⅳ 薬害の歴史

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登録販売者試験 薬害の歴史

登録販売者試験の解説とポイントを過去問題にフォーカスして記載していきます。

厚生労働省の試験問題作成の手引きを基に分かり易い内容に変えて解説しています。

過去問題から作成したポイントテストもありますので、是非解いて見てくださいね。

独学で学ばれている方も含め問題なく解けることが実感できるかと思います。

今回の第1章-Ⅳ薬害の歴史について説明します。

第1章全体の問題概要、ポイントについては第1章-1日目:Ⅰ医薬品概論をご覧ください。
(処方時間 15分)

 

1)医薬品による副作用等に対する基本的考え方

医薬品による副作用は、眠気、口渇等の比較的よく見られるものから、死亡や日常生活に支障を来すほどの重大なものまで、その程度は様々ですが、科学的に解明されていない未知のものが生じる場合もあります。

医薬品の副作用被害や薬害は、医薬品が十分注意して使用されたとしても起こり得えます。 このように医薬品が「両刃の剣」であることを踏まえる必要があります。

両刃の剣(りょうばのつるぎ)」とは、相手に打撃を与えることができるが、自分にも損害が及ぶおそれがあることを意味する表現です。(出展:Weblio辞書

 

ポイントテスト1

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)

(1) 医薬品による副作用被害は、医薬品を十分注意して使用していれば、起こらないものである。

(2) 副作用は、科学的に解明されていない未知のものが生じることはない。

(3) 副作用は、眠気、口渇等の比較的よく見られるものから、死亡や日常生活に支障を来すほどの重大なものまで、その程度は様々である。

(4) 副作用は、直ちに明確な自覚症状として現れないこともある。

(5)医薬品が「両刃の剣」であることを踏まえ、医薬品の販売に従事する専門家を含め、関係者が医薬品の安全性の確保に最善の努力を重ねていくことが重要である。

 

 

回答と解説
ポイントテスト1
(1)× :副作用は十分注意しても起こりえます
(2)× :未知のものが生じる可能性がある
(3)○
(4)○
(5)○

 

 

2)医薬品による副作用等にかかる主な訴訟 【頻出】

製薬企業や国だけでなく、登録販売者は、薬害事件の歴史を十分に理解し、医薬品の副作用等による健康被害の拡大防止に関して、医薬品の情報提供、副作用報告等を通じて、その責務の一端を担っています。

細かい年号ではなく、時系列を把握しましょう。また、次の4つの薬害から2問~3問は出題されますので、しっかり勉強しましょう。

(a) サリドマイド訴訟

対象医薬品
サリドマイド製剤催眠鎮静剤として発売(鎮静作用を目的として、胃腸薬にも配合)

症状
妊婦に使用した際、出生児に四肢欠損、視聴覚等の感覚器や心肺機能の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生

原因
サリドマイドは光学異性体であり、一方の異性体(R体)には鎮静作用がありますが、もう一方の異性体(S体)には血管新生を妨げる作用があります。
R体とS体は体内で相互に転換するため、R体を分離して製剤化しても催奇形性は避けられません

光学異性体とは、化学的配列は同じですが、鏡像関係(鏡に映ったように左右対称の関係)にある化合物で、R体とS体に区別されます。
※光学異性体のイメージ図

妊婦が摂取した場合、サリドマイドは血液-胎盤関門通過して胎児に移行します。胎児は活発な成長の過程で血管新生が妨げられ、細胞分裂が正常に行われず、器官が十分に成長しないことで、四肢欠損などの先天異常が発生します。

 

S体、R体の覚え方ポイント

S体、R体の記憶が曖昧になる時は

S体=血管阻害の副作用 

副作用=英語でSide effect(サイドエフェクト)

サイドエフェクトのSと覚えましょう。

背景
1957年に西ドイツ(当時)で販売が開始され、日本では1958年1月から販売されました。1961年11月、西ドイツのレンツ博士がサリドマイド製剤の催奇形性について警告を発し、西ドイツでは製品が回収されるに至りました。

一方、日本では、同年12月に西ドイツ企業から勧告が届いており、かつ翌年になってからもその企業から警告が発せられていたにもかかわらず、出荷停止は1962年5月まで行われず、販売停止及び回収措置は同年9月であるなど、対応の遅さが問題視されました。

対象被告と訴訟結果
1963年6月に製薬企業を被告として、さらに翌年12月には国及び製薬企業を被告として提訴され、1974年10月に和解が成立しました。

その結果
WHO加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識され、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られることとなりました。
医薬品の承認にあたっては、 光学異性体の有無や有効性、安全性等への影響についても確認、評価がなされるようになりました。

 

(b) スモン訴訟

対象医薬品
キノホルム製剤整腸剤として発売

症状
亜急性脊髄視神経症(別名:スモン):初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、次第に下半身痺れ脱力、歩行困難等が現れる。麻痺は上半身にも拡がる場合があり、ときに視覚障害から失明に至ることもあります。 

背景
キノホルム製剤は、1924年から整腸剤として販売されていましたが、1958年頃から消化器症状を伴う特異な神経症状が報告されるようになり、米国では1960年にアメーバ赤痢に使用が制限されました。日本では、1970年8月になって、スモンの原因はキノホルムであるとの説が発表され、同年9月に販売が停止されました。 

対象被告と訴訟結果
1971年5月に国及び製薬企業を被告として提訴されました。被告である国は、スモン患者の早期救済のためには、和解による解決が望ましいとの基本方針に立って、1977年10月に東京地裁において和解が成立して以来、各地の地裁及び高裁において和解が勧められ、1979年9月に全面和解が成立しました。 

その結果
スモン患者に対しては、治療研究施設の整備、治療法の開発調査研究の推進、施術費及び医療費の自己負担分の公費負担、世帯厚生資金貸付による生活資金の貸付、重症患者に対する介護事業が講じられています。

サリドマイド訴訟スモン訴訟を契機として、1979年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設されました。 

 

(c) HIV訴訟

対象医薬品
血液凝固因子製剤血友病患者に使用する血液製剤の一種

症状
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染及び、エイズの発症

原因
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料血漿(血液に含まれる液体成分)から製造された血液凝固因子製剤の投与

対象被告と訴訟結果
国及び製薬企業を被告として、1989年5月に大阪地裁、同年10月に東京地裁で提訴されました。大阪地裁、東京地裁は、1995年10月、1996年3月にそれぞれ和解勧告を行い、1996年3月に両地裁で和解が成立しました。

その結果
HIV感染者に対する恒久対策として、エイズ治療研究開発センター及び拠点病院の整備や治療薬の早期提供等の様々な取り組みの推進や、医薬品の副作用等による健康被害の再発防止に向けた取り組みも進められました。

医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(当時)との連携による承認審査体制の充実、製薬企業に対し従来の副作用報告に加えて感染症報告の義務づけ緊急に必要とされる医薬品を迅速に供給するための「緊急輸入」制度の創設等を内容とする改正薬事法が1996年に成立し、翌年4月に施行されました。

また、血液製剤の安全確保対策として検査や献血時の問診の充実が図られるとともに、薬事行政組織の再編、情報公開の推進、健康危機管理体制の確立等がなされました。 

 

(d) CJD訴訟

対象医薬品
ヒト乾燥硬膜:脳外科手術に使用

症状
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD):細菌でもウイルスでもないタンパク質の一種であるプリオンが原因とされ、プリオンが脳の組織に感染し、次第に認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病です。

原因
ヒト乾燥硬膜の原料が採取された段階でプリオンに汚染されている場合があり、プリオン不活化のための十分な化学的処理が行われないまま製品として流通し、脳外科手術で移植された患者にCJDが発生。 

対象被告と訴訟結果
国、輸入販売業者及び製造業者を被告として、1996年11月に大津地裁、1997年9月に東京地裁で提訴されました。大津地裁、東京地裁は2001年11月に和解勧告を行い、2002年3月に両地裁で和解が成立しました。

その結果
本訴訟の和解に際して、国(厚生労働大臣)は、生物由来製品等の安全性を確保するため必要な規制の強化とともに、生物由来の医薬品等による被害の救済制度を早期に創設できるよう努めることを誓約しました。

HIV訴訟、CJD訴訟を契機として、2002年に行われた薬事法改正に伴い、生物由来製品の安全対策強化、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設等がなされました。

 

 

ポイントテスト2

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)サリドマイド訴訟は、催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損等の先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟である。

(2)サリドマイドによる副作用の原因である血管新生を妨げる作用は、サリドマイドの光学異性体のうち、一方の異性体(S体)のみが有する作用であり、もう一方の異性体(R体)のサリドマイドを分離して製剤化すれば催奇形性は避けることができる。

(3)スモン訴訟は、解熱鎮痛剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。

(4)HIV訴訟の和解を踏まえ、国は、HIV感染者に対する恒久対策として、エイズ治療研究開発センター及び拠点病院の整備や治療薬の早期提供等の様々な取り組みを推進してきている。

(5) CJD訴訟を契機に、国は医薬品副作用被害救済制度を創設した。

 

 

回答と解説
ポイントテスト2
(1)○
(2)× :R体を分離させても催奇形性は避けられない
(3)× :解熱鎮痛剤ではなく、整腸剤
(4)○
(5)× :CJD、HIVを契機に感染症等被害救済制度が創立


一章の最後の項目「4薬害の歴史について」はここまでです。これで一章は全て終了です。お疲れさまでした。1日1ページの学習スタイルをルーティン化できるよう、徐々にペースを掴んでもらえると良いですね。0からスタートでも十分受かりますので、めげずにがんばりましょう!

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