登録販売者試験の解説とポイントを過去問題にフォーカスして記載していきます。
厚生労働省の試験問題作成の手引きを基に分かり易い内容に変えて解説しています。
独学で学ばれている方も含め問題なく解けることが実感できるかと思います。
また第4章全体のポイントについては、第4章-1日目:Ⅰ医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律をご覧ください。
1)許可の種類と許可行為の範囲
医薬品販売の許可
薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置することを含む。)してはならない
医薬品を販売するにあたっては、次のどちらかの許可が必要です。
- 薬局開設の許可
- 医薬品販売業の許可
これらの許可は6年ごとに、更新を受けなければ効力を失います。
医薬品の販売業の許可については、次の3種類に分けられます。
- 店舗販売業の許可
- 配置販売業の許可
- 卸売販売業の許可
卸売販売業は、業として一 般の生活者に対して直接医薬品の販売等は認められていません。
また、薬局、店舗販売業及び卸売販売業では、特定の購入者の求めに応じて医薬品の包装を開封して分割販売(いわゆる「量り売り」、「零売」と呼ばれることもある)することができます。
(a) 薬局
薬局の定義
薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所(開設者が併せ行う医薬品の販売業に必要な場所を含む)
薬局では医薬品の調剤と併せて、店舗で医薬品の販売を行うことが認められており、調剤を実施する薬局は、医療提供施設として位置づけられています。
薬局の許可
その所在地の都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。)の許可を受けなければ、開設してはならない。
都道府県知事は次のような場合許可を与えないことができます。
- 調剤や医薬品の販売などに必要な構造設備を備えていない
- 医薬品の調剤および販売などの業務を行なう体制が整っていない
- 申請者が薬事に関する法令などに違反し一定期間を経過していない
医薬品を取り扱う場所であって薬局として開設の許可を受けていない場合、病院又は診療所の調剤所を除き薬局の名称を付してはなりません。
医薬品販売について
一般用医薬品のうち第二類医薬品又は第三類医薬品の販売等に関しては、薬剤師のほかに登録販売者も購入者等への情報提供や相談対応を行うことができます。
薬局の管理者について
薬局開設者は、自らが薬剤師であるときはその薬局を実地に管理しなければならず、自ら管理しない場合にはその薬局で薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから管理者を指定して実地に管理させなければなりません。
管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないよう、薬局に勤務するその他の従業者を監督するほか、薬局開設者に対して必要な意見を書面により述べなければなりません。
地域連携薬局
他の医療提供施設と連携し、地域における薬剤及び医薬品の適正な使用の推進及び効率的な提供に必要な情報提供及び薬学的知見に基づく指導を実施するために必要な一定の機能を有する薬局は、その所在地の都道府県知事の認定を受けて地域連携薬局と称することができることができます。
専門医療機関連携薬局
他の医療提供施設と連携し、薬剤の適正な使用の確保のために専門的な薬学的知見に基づく指導を実施するために必要な機能を有する薬局は、傷病の区分ごとに、その所在地の都道府県知事の認定を受けて専門医療機関連携薬局と称することができます。
健康サポート薬局
患者が継続して利用するために必要な機能及び個人の主体的な健康の保持増進への取組を積極的に支援する機能を有する薬局を健康サポート薬局といいます。
薬局開設者は、健康サポート薬局である旨を表示するときは、その薬局を、厚生労働大臣が定める基準に適合するものとしなければなりません。
薬剤師不在時間について
業務を行うため、やむを得ず、かつ、一時的に当該薬局において薬剤師が不在となる時間を薬剤師不在時間といいます。
薬局開設者は、薬剤師不在時間内は調剤室の閉鎖や要指導医薬品陳列区画又は第一類医薬品陳列区画を閉鎖するとともに、調剤に従事する薬剤師が不在のため調剤に応じることができない旨等を薬局内側および外側の見やすい場所に掲示しなければなりません。
(かぎをかけた陳列設備に要指導医薬品又は第一類医薬品を陳列する場合は、要指導又は第一類医薬品陳列区画の閉鎖は必要ありません)
薬局の管理を行う薬剤師は、薬剤師不在時間内に当該薬局において勤務している従事者と連絡ができる体制を備えていなければなりません。
なお薬剤師不在時間内であっても、登録販売者は第二類医薬品又は第三類医薬品を販売できます。
ポイントテスト1
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)医薬品の販売業の許可は、店舗販売業の許可、配置販売業の許可又は卸売販売業の許可の3種類に分けられている。
(2)薬局の開設及び医薬品の販売業の許可は、5年ごとに、その更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
(3)病院又は診療所の調剤所は、医薬品医療機器等法に基づく薬局ではないが、「薬局」の名称を付すことができる。
(4)薬局は、厚生労働大臣の許可を受けなければ開設してはならない。
(5)調剤を実施する薬局は、医療法において医療提供施設と位置付けられている。
(6)薬局において薬剤師を管理者とすることができない場合には、その薬局において医薬品の販売又は授与に関する業務に従事する登録販売者を管理者にすることができる。
回答と解説
ポイントテスト1
(1)○
(2)×:更新は6年ごと
(3)○
(4)×:所在地の都道府県知事の許可
(5)○
(6)×:薬局の管理者は薬剤師のみ
(b) 店舗販売業
店舗販売業の許可
要指導医薬品又は一般用医薬品を、店舗において販売し、又は授与する業務について、店舗ごとに、その店舗の所在地の都道府県知事(その店舗の所在地が保健所を設置する市は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)が与える。
都道府県知事は、次のような場合許可を与えないことができます。
- 必要な構造設備を備えていない
- 適切に医薬品を販売し、又は授与するために必要な体制が整っていない
- 申請者が薬事に関する法令等に違反し一定期間を経過していない
薬局と異なり、薬剤師が従事していても調剤を行うことはできず要指導医薬品又は一般用医薬品以外の医薬品の販売等は認められていません。
要指導医薬品、第一類医薬品については、薬剤師により販売又は授与させなければなりません。
第二類医薬品又は第三類医薬品については、薬剤師又は登録販売者に販売又は授与させなければなりません。
店舗管理者
店舗販売業者は、その店舗を、自ら実地に管理するか、指定する者に実地に管理させなければならず、その実地に管理する店舗管理者は次のように定められています。
要指導医薬品又は第一類医薬品を販売し、授与する店舗 | 薬剤師 ※1 |
第二類医薬品又は第三類医薬品を販売等する店舗 | 薬剤師又は登録販売者※2 |
※1 第一類医薬品を販売し授与する店舗において薬剤師を店舗管理者とすることができない場合には、要指導医薬品、第一類医薬品を販売等する薬局、薬剤師が店舗管理者である要指導医薬品、第一類医薬品を販売等する店舗販売業又は薬剤師が区域管理者である第一類医薬品を配置販売する配置販売業において登録販売者として3年以上(従事期間が月単位で計算して、1か月に80時間以上従事した月が36月以上、または、従事期間が通算して3年以上あり、かつ、過去5年間において合計2,880時間以上)業務に従事した者であって、その店舗において医薬品の販売又は授与に関する業務に従事するものを店舗管理者にすることができる。
その際、店舗管理者を補佐する薬剤師を置かなければなりません。
※2 登録販売者が管理者となる際は、次の3つのいずれかに該当する必要があります。
- 下記期間が過去5年間のうち、 通算して2年以上(従事期間が月単位で計算して、1か月に80時間以上従事した月が24月以上、または、従事期間が通算して2年以上あり、かつ、過去5年間において合計1,920時間以上)ある。
- 下記期間が過去5年間のうち、通算して1年以上(従事期間が月単位で計算して、1カ月に160時間以上従事した月が12月以上、または、従事期間が通算して1年以上あり、かつ、過去5年間において合計1,920時間以上)あり、研修実施機関が行う毎年度受講する必要がある研修に加えて、店舗の管理および法令遵守に関する追加的な研修を修了している
- 下記期間が通算して1年以上であり、かつ、過去に店舗管理者等として業務に従事した経験がある
- 一般従事者として薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下に実務に従事した期間
- 登録販売者として業務に従事した期間
店舗管理者は、前項の薬局の管理者と同様に、その店舗を管理しなければなりません。なお、店舗管理者は、その店舗の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合を除き、その店舗以外の場所で業として店舗の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはなりません。
ポイントテスト2
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)店舗販売業の許可を受けた店舗では、薬剤師が従事していれば、調剤を行うことができる。
(2)店舗管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないよう、その店舗の業務につき、店舗販売業者に対して必要な意見を書面により述べなければならない。
(3)店舗管理者は、その店舗の所在地の都道府県知事の許可を受けたときを除き、その店舗以外の場所で業として店舗の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならない。
(4)登録販売者は、過去5年間のうち、登録販売者として業務に従事した期間が通算して2年あれば、要指導医薬品を販売する店舗の店舗管理者になることができる。
回答と解説
ポイントテスト2
(1)×:調剤はできない
(2)○:店舗管理者は、店舗の管理をしなければならない
(3)○
(4)×:要指導医薬品ではなく、第二医薬品または第三類医薬品を販売する店舗
(c) 配置販売業
配置販売業の許可
一般用医薬品を、配置により販売又は授与する業務について、配置しようとする区域をその区域に含む都道府県ごとに、その都道府県知事が与える。
都道府県知事は、次のような場合、許可を与えないことができます。
- 適切に医薬品の配置販売するために必要な基準が整っていない。
- 申請者が薬事に関する法令等に違反し一定期間を経過していない。
配置販売業は購入者の居宅等に医薬品をあらかじめ預けておき、使用した後で代金を請求するといった販売形態であるため、「一般用医薬品のうち経年変化が起こりにくいこと」等の基準に適合するもの以外の医薬品を販売等してはなりません。
第一類医薬品については、薬剤師により販売又は授与させなければなりません。
第二類医薬品又は第三類医薬品については、薬剤師又は登録販売者に販売又は授与させなければなりません。
区域管理者
配置販売業者は、その業務に係る都道府県の区域を、自ら管理し、又は当該都道府県の区域において配置販売に従事する配置員のうちから指定したものに管理させなければならず、その区域を管理する区域管理者は次のように定められています
第一類医薬品を販売し、授与する区域の区域管理者 | 薬剤師 |
第二類医薬品又は第三類医薬品を販売し、授与する区域の区域管理者 | 薬剤師又は登録販売者 ※1 |
※1 第二類医薬品または第三類医薬品を販売等する区域において登録販売者が区域管理者となる際は、前項の店舗管理者と同様に、次の3つのいずれかに該当する必要があります。
- 薬局、店舗販売業または配置販売業において、下記期間が過去5年間のうち、通算して2年以上ある
- 下記期間が過去5年間のうち、通算して1年以上あり、研修実施機関が行う毎年度受講する必要がある研修に加えて、区域の管理及び法令遵守に関する追加的な研修を修了している
- 下記期間が通算して1年以上であり、かつ、過去に店舗管理者等として業務に従事した経験がある
- 一般従事者として薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下に実務に従事した期間
- 登録販売者として業務に従事した期間
区域管理者は前項の薬局の管理者と同様に、その区域を管理しなければなりません。
届出や身分証明書など
配置販売業者又はその配置員は、配置販売業者の氏名及び住所、配置販売に従事する者の氏名及び住所並びに区域及びその期間を、あらかじめ、配置販売に従事しようとする区域の都道府県知事に届け出なければなりません。
なお、配置販売業者又はその配置員は、その住所地の都道府県知事が発行する身分証明書の交付を受け、かつ、これを携帯しなければ、医薬品の配置販売に従事してはなりません。
ここで言う「その住所地」とは、配置販売業者又はその配置員の住所地を指します。配置区域ではありません。 |
薬局開設者又は店舗販売業者は、店舗による販売又は授与以外の方法により医薬品を販売等してはならず、同様に、配置販売業者は、配置以外の方法により医薬品を販売等してはなりません。
また、配置販売業は医薬品を開封して分割販売することは禁止されています。
ポイントテスト3
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1) 配置販売業の許可は、一般用医薬品を配置しようとする区域をその区域に含む都道府県ごとに、その都道府県知事が与える。
(2)配置販売業者は、一般用医薬品のうち経年変化が起こりにくいこと等の基準に適合するもの以外の医薬品を販売等してはならない。
(3)配置販売業者は、店舗による販売又は授与の方法で医薬品を販売等することができる。
(4)配置販売業では、医薬品を開封して分割販売することができる。
(5)配置販売業者又はその配置員は、その住所地の都道府県知事が発行する身分証明書の交付を受け、かつ、これを携帯しなければ、医薬品の配置販売に従事してはならない。
回答と解説
ポイントテスト3
(1)〇
(2)〇
(3)×:配置販売しかできません。
(4)×:分割販売はできません。
(5)○