登録販売者試験の解説とポイントを過去問題にフォーカスして記載していきます。
厚生労働省の試験問題作成の手引きを基に分かり易い内容に変えて解説しています。
過去問題から作成したポイントテストもありますので、是非解いて見てくださいね。
独学で学ばれている方も含め問題なく解けることが実感できるかと思います。
また第3章全体のポイントについては、第3章-1日目:Ⅰ-①:かぜ薬をご覧ください。
2 口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)
口腔咽喉薬:
口腔内または咽頭部の粘膜に局所的に作用して、炎症による痛み、腫れ等の症状の緩和を目的とするもので、トローチ剤やドロップ剤のほか、口腔内に噴霧又は塗布して使用する外用液剤があり、殺菌消毒成分が配合される場合もあります。
含嗽薬:
口腔および咽頭の殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去等を目的として、用時水に希釈または溶解してうがいに用いるか、患部に塗布した後、水でうがいする外用液剤です。
使用時の注意点
- トローチ剤やドロップ剤は、口中で噛まずに溶かすことが重要であり、噛み砕いて飲み込んでしまうと効果は期待できない。
- 噴射式の液剤では、気管支や肺に入らないよう、軽く息を吐きながら噴射することが望ましい。
- 含嗽薬は、水で用時希釈又は溶解するが、濃度が濃すぎても薄すぎても効果が十分得られない。
- うがいは一般的に、薬液を10~20mL 程度口に含み、顔を上向きにして咽頭の奥まで薬液が行き渡るようにガラガラを繰り返してから吐き出し、それを数回繰り返すのが効果的である。
- 含嗽薬の使用後すぐに食事を摂ると、殺菌消毒効果が薄れやすい。
- 成分の一部が吸収され、全身的な影響を生じる場合がある。
ポイントテスト1
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1) うがい薬は、水で用時希釈又は溶解して使用するものが多く、調製した濃度が濃すぎても薄すぎても効果が十分得られない。
(2)トローチ剤やドロップ剤は、有効成分が早く体内に行き渡るよう、噛み砕いて使用す る。
(3)噴射式の液剤は、口腔の奥まで届くよう、息を吸いながら噴射して使用する。
(4)含嗽薬は、口腔内や咽頭における局所的な作用を目的とする医薬品であるため、全身的な影響を生じることはない。
(5)口腔咽喉薬は、トローチ剤やドロップ剤のほか、口腔内に塗布して使用する外用液剤もある。
回答と解説
ポイントテスト1
(1)〇
(2)×:噛まずに溶かす。
(3)×:吸いながらではなく、軽く息を吐きながら噴霧。
(4)×:一部が吸収され、全身的な影響が生じる可能性がある。
(5)〇
1)代表的な配合成分等、主な副作用
(a) 炎症を和らげる成分(抗炎症成分)
喉の不快感、喉の痛みまたは喉の腫れの症状を鎮めることが目的として使われます。
- グリチルリチン酸二カリウム
- トラネキサム酸
- アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)
グリチルリチン、トラネキサム酸は第3章-1日目:Ⅰ-①かぜ薬を参照
アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン) :
炎症を生じた粘膜組織の修復を促す作用を期待し配合されます。
(b) 殺菌消毒成分
ヨウ素系殺菌消毒成分:
- ポビドンヨード
- ヨウ化カリウム
- ヨウ素
その他の殺菌消毒成分:
- セチルピリジニウム塩化物
- デカリニウム塩化物
- ベンゼトニウム塩化物
- クロルヘキシジングルコン酸塩
- クロルヘキシジン塩酸塩
- チモール
ヨウ素系殺菌消毒成分やクロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩は、ショックのような全身性の重篤な副作用を生じることがあります。
使用時の注意点
ヨウ素系殺菌消毒成分:
- 使用時にヨウ素の摂取につながり、甲状腺におけるホルモン産生に影響を及ぼす可能性がある。
バセドウ病や橋本病など甲状腺疾患の診断を受けた人はその使用について、相談が必要である。 - 血液ー胎盤関門の通過による胎児への移行や乳汁中への移行があるため、注意が必要である。
クロルヘキシジングルコン酸塩:
- 口腔内に傷やひどいただれのある人では、強い刺激を生じるおそれがあるため使用を避ける。
(c) 局所保護成分
グリセリン:
喉の粘膜を刺激から保護する成分です。
複方ヨード・グリセリン:
グリセリンにヨウ化カリウム、ヨウ素、ハッカ水、液状フェノールなどを加えたもので、患部の殺菌・消毒に用いられます。
(d) 抗ヒスタミン成分
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
口腔咽頭薬として粘膜に付着したアレルゲンによる喉の不快感などの症状を鎮めます。
この場合患部で効果を発揮するため、咳には効果はありません。
(e) 生薬成分
① ラタニア
クラメリア科のクラメリア・トリアンドラ及びその同属植物の根を基原とする生薬で、咽頭粘膜をひきしめる作用により炎症の寛解を促す。
② ミルラ
カンラン科のミルラノキ等の植物の皮部の傷口から流出して凝固した樹脂を基原とする生薬で、咽頭粘膜をひきしめる作用のほか、抗菌作用ある。
③ その他
芳香による清涼感等を目的として次の生薬から得られた精油成分が配合される場合があります。
ハッカ:
シソ科のハッカの地上部を基原とする生薬
ウイキョウ:
セリ科のウイキョウの果実を基原とする生薬
チョウジ:
フトモモ科のチョウジの 蕾を基原とする生薬
ユーカリ:
フトモモ科のユーカリノキ又はその近縁植物の葉を基原とする生薬
漢方処方製剤
喉の痛み等を鎮めることが目的で咳や痰に対する効果を標榜しない漢方処方製剤
- 桔梗湯
- 駆風解毒散・駆風解毒湯
- 白虎加人参湯
- 響声破笛丸
構成生薬としていずれもカンゾウを含む。
カンゾウ,マオウ,ダイオウを含む場合
それぞれ㋕,㋮,㋟で記載
(a) 桔梗湯 ㋕
体力に関わらず使用でき、喉が腫れて痛み、ときに咳がでる人の扁桃炎、扁桃周囲炎に適すとされる。
5~6回服用しても症状の改善がみられない場合には、細菌感染を考慮し漫然と使用を継続しない。
(b)駆風解毒散 ㋕・駆風解毒湯 ㋕
体力に関わらず使用でき、喉が腫れて痛む扁桃炎、扁桃周囲炎に適す。
水又はぬるま湯に溶かしてうがいしながらゆっくり服用するのが特徴である。
また駆風解毒湯 のトローチ剤もある。
5~6回服用しても症状の改善がみられない場合には、細菌感染を考慮し漫然と使用を継続しない。
(c) 白虎加人参湯 ㋕
体力中等度以上で、熱感と口渇が強い人の喉の渇き、ほてり、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみに適す。
比較的長期間(1ヶ月位)服用されることがある。
(d) 響声破笛丸 ㋕㋟
体力に関わらず使用でき、しわがれ声、咽喉不快に適す。
短期間の使用に限らないが、漫然と使用を継続することは避ける。
構成生薬としてダイオウを含む場合がある。
ポイントテスト2
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)声がれ、喉の荒れ、喉の不快感、喉の痛み又は喉の腫れの症状を鎮めることを目的として、セチルピリジニウム塩化物やポビドンヨードが用いられる。
(2)喉の粘膜を刺激から保護する成分として、グリセリンが配合されている場合がある。
(3) 日本薬局方収載の複方ヨード・グリセリンは、グリセリンにヨウ化カリウム、ヨウ素、ハッカ水、液状フェノール等を加えたもので、喉の患部に塗布して殺菌・消毒に用いられる。
(4)炎症を生じた粘膜組織の修復を促す作用を期待して、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)が配合されている場合がある。
(5)白虎加人参湯は体力に関わらず広く応用できる。しわがれ声、咽喉不快に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
回答と解説
ポイントテスト2
(1)×:2つの成分は殺菌消毒成分
(2)〇
(3)〇
(4)〇
(5)×:白虎加人参湯ではなく、響声破笛丸。
2)相互作用、受診勧奨
【相互作用】
ヨウ素は、ビタミンCなどの成分と反応すると脱色を生じて殺菌作用が失われます。
ビタミンCを含有する食品を摂取した直後には、ヨウ素系殺菌消毒成分が配合された含嗽薬の使用を避けることが望ましい。
【受診勧奨】
飲食物を飲み込むときに激しい痛みを感じるような場合には、扁桃蜂巣炎や扁桃膿瘍などを生じている可能性があるため、早期に診療を受けるなどの対応が必要です。
通常、喉の異変はかぜの症状の一部として起こることが多いため、かぜの寛解とともに治まります。症状が続く場合には、喉頭癌などの可能性もあるため、診療を受けるなどの対応が必要です。
ポイントテスト3
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)含嗽薬の使用後にすぐに食事を摂った場合であっても、殺菌消毒効果が薄れることはない。
(2)ヨウ素は、レモン汁やお茶などに含まれるビタミンC等の成分と反応すると、殺菌作用が失われるため、ヨウ素系殺菌消毒成分が配合された含嗽薬では、そうした食品を摂取した直後の使用や混合は避けることが望ましい。
回答と解説
ポイントテスト3
(1)×:薄れることがある。
(2)〇
ページ内の薬剤一覧
口腔咽喉薬、含嗽薬 | ||||
分類 | 成分名 | 作用 | ||
抗炎症薬 | グリチルリチン酸二カリウム | 抗炎症作用 | ||
トラネキサム酸、 | ||||
アズレンスルホン酸ナトリウム | 粘膜組織の修復 | |||
殺菌消毒成分 | ヨウ素系 | ポビドンヨード | 殺菌消毒 甲状腺疾患の場合要相談 胎児・母乳中へ移行 |
|
ヨウ化カリウム | ||||
ヨウ素 | ||||
その他 | セチルピリジニウム塩化物 | 殺菌消毒 | ||
デカリニウム塩化物 | ||||
ベンゼトニウム塩化物 | ||||
クロルヘキシジングルコン酸塩 | ||||
クロルヘキシジン塩酸塩 | ||||
チモール | ||||
局所保護成分 | グリセオール | 粘膜保護 | ||
複方ヨード・グリセリン | 殺菌消毒 | |||
抗ヒスタミン | クロルフェニラミンマレイン酸塩 | アレルゲンのよる喉の不快感を緩和 | ||
生薬成分 | ラタニア | 粘膜を引き締める作用による炎症緩和 | ||
ミルラ | 粘膜を引き締める作用のほか、殺菌 | |||
ハッカ | 芳香による清涼感 | |||
ウイキョウ | ||||
チョウジ | ||||
ユーカリ | ||||
漢方 | 桔梗湯 ㋕ | 体力に関わらず、喉が腫れて痛み、ときに咳がでる扁桃腺 | ||
駆風解毒散 ㋕・駆風解毒湯 ㋕ | 体力に関わらず、喉が腫れて痛む扁桃炎 | |||
白虎加人参湯 ㋕ | 熱感と口渇が強いものの喉の渇き | |||
響声破笛丸 ㋕㋟ | 体力に関わらず、しわがれ声、咽喉不快 |