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3章:主な医薬品とその作用

第3章-7日目:Ⅲ-① 胃の薬

更新日:

胃の薬

登録販売者試験の解説とポイントを過去問題にフォーカスして記載していきます。

厚生労働省の試験問題作成の手引きを基に分かり易い内容に変えて解説しています。

過去問題から作成したポイントテストもありますので、
是非解いて見てくださいね。

独学で学ばれている方も含め問題なく解けることが実感できるかと思います。

今回は第3章の Ⅲ:胃腸に作用する薬-①胃の薬から続きをしていきます。毎年1~2問は出題されていますので、確実に取りにいきましょう。

また第3章全体のポイントについては、第3章-1日目:Ⅰ-①:かぜ薬をご覧ください。
(所要時間 17分)

 

 

1  胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)

1)胃の不調、薬が症状を抑える仕組み 

胃の働き:詳しくは第2章1日目の消化器を参照

  • 胃酸分泌により、腐敗・発酵の防止
  • ペプシノーゲン分泌により、タンパク質の分解
  • 粘液分泌により、胃自身を胃酸、ペプシンから守る
  • ビタミンB12の吸収を助ける

【異常が生じると】

胃液の分泌量の増減や食道への逆流、胃液による胃自体の消化により胸やけや胃の不快感が起きます。

吐き気は、延髄にある嘔吐中枢の働きによるものですが、胃の痙攣等によって刺激が発生している場合があります。

 

胃の薬

メインとなる医薬品には制酸薬健胃薬消化薬があります。

制酸薬:

胸やけ、吐きけ等の症状緩和の目的で、酸の中和や胃液分泌を抑える医薬品

健胃薬:

胃の働きを高める目的で、独特の味や香りにより唾液や胃液の分泌を促す医薬品

消化薬:

栄養の分解に働く酵素を補う等により、消化を助ける医薬品

制酸と健胃のように相反する作用が一緒に配合されている場合もあります。これは、胃を元気にしつつ、胃酸を抑えたいためです。

ポイントテスト1

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)

(1)消化薬は、胃液の分泌亢進による胃酸過多や、それに伴う胸やけ、腹部の不快感、吐きけ等の症状を緩和することを目的とする医薬品である。

(2)健胃薬に配合される生薬成分は、独特の味や香りを有し、唾液や胃液の分泌を促して胃の働きを活発にする作用があるとされる。

(3)いわゆる総合胃腸薬では、制酸と健胃のように相反する作用を期待するものが配合されている場合がある。 

 

 

回答と解説
ポイントテスト1
(1)×:消化薬ではなく、制酸薬
(2)〇
(3)〇

 

 

2)代表的な配合成分等、主な副作用

(a) 制酸成分 

胃酸を中和し弱めること(制酸)を目的としています。

  • 炭酸水素ナトリウム(重曹)
  • 乾燥水酸化アルミニウムゲル、ジヒドロキシアルミニウムモノアセテート等のアルミニウムを含む成分
  • ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウムを含む成分
  • 合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等のアルミニウムマグネシウムの両方を含む成分
  •  沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等のカルシウムを含む成分

名前を正確に覚える必要はありません。ざっくり覚えましょう。

 

メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、他に胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成し保護します。

ボレイ(イボタガキ科のカキの貝殻を基原とする生薬)等の生薬成分も、含有する炭酸カルシウムにより作用を示します。

注意点

  • 制酸成分は、酸度の高い食品と一緒に使用すると中和作用が低下します
  • 腎臓疾患の場合、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の排泄が遅れ、体内に貯留しやすいため、使用前に相談が必要です。
  • アルミニウムについては、透析患者ではアルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を引き起こす場合があり、また透析治療を受けていない人でも、長期連用は避ける必要があります。

 

(b) 健胃成分 

弱った胃の働きを高めることを目的として、生薬成分が配合されます。

  • オウバク
  • オウレン
  • センブリ
  • ゲンチアナ
  • リュウタン
  • ケイヒ
  • ユウタン

健胃薬は、オブラートで包む等、味や香りを遮蔽すると効果が期待できません。

オウバク、オウレン

オウバク

ミカン科のキハダ又はフェロデンドロン・キネンセの周皮を除いた樹皮を基原とする生薬

オウレン

キンポウゲ科のオウレン、コプティス・キネンシス、コプティス・デルトイデア又はコプティス・テータの根をほとんど除いた根茎を基原とする生薬

どちらも、苦味のある健胃作用がある。

オウバク末、オウレン末は、止瀉薬[ししゃやく](下痢止め),殺菌、抗炎症としても用いられる。

またオウバク末は打ち身に外用剤しても使用される。

 

③ センブリ 

リンドウ科のセンブリの開花期の全草を基原とする生薬で、苦味による健胃作用がある。

センブリ末は、止瀉薬としても用いられる。 

 

④ゲンチアナ、リュウタン 

ゲンチアナ

リンドウ科のゲンチアナの根及び根茎を基原とする生薬

リュウタン

リンドウ科のトウリンドウ等の根及び根茎を基原とする生薬

いずれも苦味による健胃作用がある。 

 

④ ユウタン 

クマ科のヒグマその他近縁動物の胆汁を乾燥したものを基原とする生薬、

苦味による健胃作用のほか、消化補助成分として配合される場合もある。

 

⑤ ケイヒ 

クスノキ科のシンナモムム・カッシアの樹皮又は周皮の一部を除いたものを基原とする生薬

香りによる健胃作用がある。 

 

⑥ その他  

香りによる健胃作用を期待して用いられる生薬(芳香性健胃生薬

コウボク、ショウキョウ、チョウジ、チンピ、ソウジュツ、ビャクジュツ、ウイキョウ、オウゴン

 

味覚や嗅覚に対する刺激以外の作用による健胃成分

乾燥酵母:栄養素を補給し胃の働きを高める。
カルニチン塩化物:胃液分泌を促す、胃壁の循環血流を増す等の作用がある。

 

(c) 消化成分 

栄養の分解に働く酵素を補う成分

  • ジアスターゼ
  • プロザイム
  • ニューラーゼ
  • リパーゼ
  • セルラーゼ

その他の成分

胆汁末やユウタン、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸

胆汁の分泌を促す作用があり、消化を助けます。

また肝臓の働きを高める作用もありますが、肝疾患の場合、悪化させる場合があります。

 

(d) その他の成分

① 胃粘膜保護・修復成分 

胃粘液の分泌を促す、胃粘膜を覆って胃液による消化から保護する、荒れた胃粘膜の修復を促す等の作用を示す成分

  • アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)
  • アルジオキサ
  • スクラルファート
  • ゲファルナート
  • ソファルコン
  • テプレノン
  • セトラキサート塩酸塩
  • トロキシピド
  • 銅クロロフィリンカリウム
  • 銅クロロフィリンナトリウム
  • メチルメチオニンスルホニウムクロライド

注意点:

  • アルジオキサ、スクラルファートはアルミニウムを含むため、透析を受けている人では使用を避けるたり、透析を受けていなくとも長期使用を避ける必要があります。
  • ソファルコン、テプレノンについては、肝機能障害を生じることがあります。またテプレノンについては、腹部膨満感なども生じえます。
  • セトラキサート塩酸塩は、代謝されトラネキサム酸を生じるため、血栓を起こしやすい人では、血栓が分解されにくくなることがあります。

 

② 胃粘膜の炎症を和らげる成分(抗炎症成分) 

  • グリチルリチン酸二カリウム
  • グリチルリチン酸ナトリウム
  • グリチルリチン酸モノアンモニウム
  • カンゾウ(生薬成分)

グリチルリチンさえ覚えればOK

 

③ 消泡成分 

ジメチルポリシロキサン
(別名ジメチコン)

消化管内で発生した気泡の分離を促す。

泡を無くすため、ガスで腹部が張ってる状態を解消できます。

 

④ 胃液分泌抑制成分

  • ロートエキス
  • ピレンゼピン塩酸塩

副交感神経を抑える(抗コリン作用)により胃酸分泌を抑制します。

ピレンゼピン塩酸塩は、消化管の運動にはほとんど影響を与えずに胃液の分泌を抑えます。

注意点

抗コリン作用のため、排尿困難、緑内障の際は要相談

 

 

漢方処方製剤

胃の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤

  • 安中散
    [あんちゅうさん] 
  • 人参湯
    [にんじんとう] 
  • 平胃散
    [へいいさん] 
  • 六君子湯
    [りっくんしとう] 

いずれも構成生薬としてカンゾウを含みます。

カンゾウ,マオウ,ダイオウを含む場合
それぞれ㋕,㋮,㋟で記

(a) 安中散 ㋕
[あんちゅうさん] 

体力中等度以下で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、食欲不振、吐きけなどを伴うものの神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱に適す。

 

(b)人参湯 ㋕
[にんじんとう] 

体力虚弱で、疲れやすくて手足などが冷えやすいものの胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹痛、急・慢性胃炎に適す。

下痢、嘔吐に用いる場合には、1週間位使用しても症状の改善しないときは、中止し相談が必要である。

 

(c)平胃散 ㋕
[へいいさん]

体力中等度以上で、胃がもたれて消化が悪く、ときに吐きけ、食後に腹が鳴って下痢の傾向のある人における食べすぎによる胃のもたれ、急・慢性胃炎、消化不良、食欲不振に適す。

急性胃炎に用いる場合には、5~6回使用しても症状の改善しないときは、中止し相談が必要である。

 

(d)六君子湯 ㋕
[りっくんしとう] 

体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえて疲れやすく貧血性で手足が冷えやすいものの胃炎胃腸虚弱胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐に適す。

まれに肝機能障害の副作用がある。

 

ポイントテスト2

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)

(1)制酸成分は、かぜ薬等でも配合されていることが多く、併用によって制酸作用が強くなりすぎる可能性があるほか、高マグネシウム血症等を生じるおそれがある。 

(2)胆汁末は、肝臓の働きを高める作用もあるとされるが、肝臓病の診断を受けた人ではかえって症状を悪化させるおそれがある。

(3)オウバクが配合された散剤は、苦味が強いので、オブラートに包んで服用するとよい

(4)スクラルファートは、炭水化物、脂質、タンパク質等の分解に働く酵素を補う等により、胃や腸の内容物の消化を助けることを目的として用いられる。 

(5)セトラキサート塩酸塩は、代謝されてトラネキサム酸を生じるため、血栓のある人、血栓を起こすおそれのある人では、生じた血栓が分解されにくくなることが考えられる。 

 

 

回答と解説
ポイントテスト2
(1)〇
(2)〇
(3)×:健胃薬は味や香りにより効果を発揮
(4)×:スクラルファートは胃粘膜保護成分
(5)〇

 

3)受診勧奨

【受診勧奨】

一般用医薬品の胃薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)は、一時的な胃の不調に伴う諸症状を緩和する目的で使用されるものです。

慢性的な場合、食道裂孔ヘルニア、胃・十二指腸潰瘍、胃ポリープ等の可能性も考えられ、医療機関を受診するなどの対応が必要です。

制酸薬は、胃液から胃粘膜を保護することを目的として、食前又は食後に服用することが多いです。
また暴飲暴食による胸やけ、吐きけ、嘔吐等の症状を予防するものではありません。

ページ内の薬剤一覧

胃の薬
分類 成分名 作用
制酸成分   炭酸水素ナトリウム(重曹) 胃酸を中和し弱める(制酸)

メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、他に胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成し保護する。

アルミニウム 乾燥水酸化アルミニウムゲル
ジヒドロキシアルミニウムモノアセテート
マグネシウム ケイ酸マグネシウム
酸化マグネシウム
炭酸マグネシウム
アルミニウム+
マグネシウム
合成ヒドロタルサイト
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
カルシウム 沈降炭酸カルシウム
リン酸水素カルシウム
ボレイ(生薬成分)
生薬成分 オウバク、オウレン 苦味による健胃作用
オオバク、オウレン、センブリは
止瀉作用もある。
センブリ
ゲンチアナ、リュウタン
ユウタン
ケイヒ 香りによる健胃作用
消化成分 ジアスターゼ 炭水化物、タンパク質、脂質等栄養
の分解に働く酵素
プロザイム
ニューラーゼ
リパーゼ、
セルラーゼ
胆汁末 胆汁分泌作用のより消化を助ける。
また肝臓の働きも助ける。
ユウタン
ウルソデオキシコール酸
デヒドロコール酸
胃粘膜保護・修復成分 アズレンスルホン酸ナトリウム 胃粘液を分泌促進、胃を保護・修復

アルジオキサ、スクラルファートは
アルミニウムを含むため、
透析患者への使用は避ける。

セトラキサート塩酸塩は、代謝されトラネキサム酸を生じるため、血栓を起こしやすい人では、生じた血栓が分解されにくくなることがある。

アルジオキサ
スクラルファート
ゲファルナート
ソファルコン
テプレノン
セトラキサート塩酸塩
トロキシピド
銅クロロフィリンカリウム
銅クロロフィリンナトリウム
メチルメチオニンスルホニウムクロライド
抗炎症成分 グリチルリチン及び、カンゾウ 胃粘膜の炎症を和らげる
消泡成分  ジメチルポリシロキサン 消化管内で発生した気泡の分離を促す。
抗コリン成分 ロートエキス 抗コリン作用により胃酸分泌抑制
ピレンゼピン塩酸塩
漢方処方製剤 安中散 ㋕
[あんちゅうさん] 
腹部筋肉が弛緩する傾向の神経性胃炎
人参湯 ㋕
[にんじんとう] 
冷えやすいものの胃腸虚弱
平胃散 ㋕
[へいいさん] 
食後に腹が鳴って下痢の傾向の胃炎
六君子湯 ㋕
[りっくんしとう] 
みぞおちがつかえて疲れやすく、
貧血性の胃炎、胃下垂

今回は胃の薬についてでした。医薬品が多く登場しますが、まずは読み流す形で結構です。大枠を掴んでいきましょう。お疲れさまでした。

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