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2章:人体の働きと医薬品

第2章-2日目:Ⅰ-②: 呼吸器

呼吸器

登録販売者試験の解説とポイントを過去問題にフォーカスして記載していきます。

厚生労働省の試験問題作成の手引きを基に分かり易い内容に変えて解説しています。

実際の過去問題から作成したポイントテストもありますので、
是非解いて見てくださいね。

独学で学ばれている方も含め問題なく解けることが実感できるかと思います。

今回は第2章のⅠ人体の構造と働き② 呼吸器 から続きをしていきます。呼吸器系の問題は毎年1問は出題されていますので、確実に取りにいきましょう。

第2章全体のポイントについては、第2章-1日目:Ⅰ-①:消化器系をご覧ください。

 

2) 呼吸器

呼吸を行うための器官系で、鼻腔 、咽頭いんとう喉頭こうとう、気管、気管支、肺からなります。鼻腔から気管支までの呼気及び吸気の通り道を気道といい、上気道じょうきどう下気道かきどうに分類できます。

  • 上気道:鼻腔、咽頭、喉頭
  • 下気道:気管、気管支、肺

呼吸器は常時外気と接触する器官であり、さまざまな異物、病原物質の侵入経路となるため、幾つもの防御機構が備わっています。 

肺は呼吸のための器官であるため、上記の通り、いかに異物を排除するかが重要です。
各部位の役割と防御機能の違いに注目してください。

a) 鼻腔 

役割
空気のフィルター加湿加温

防御機能
くしゃみ、鼻汁

鼻腔は鼻の内側の空洞部分で、鼻腔の入り口(鼻孔)にある鼻毛は、塵、埃等を吸い込まないようにするフィルターの役目を果たしています。

鼻腔の内壁は、粘膜で覆われた棚状の凸凹になっており、空気との接触面積を広げ、効率よく適度な湿り気と温もりを与えて、乾燥した冷たい外気が流れ込むのを防いでいます。

鼻腔内に刺激を受けると、反射的にくしゃみが起きて激しい呼気とともに刺激の原因物を排出しようとします。

鼻腔の内壁には粘液分泌腺が多く分布し、鼻汁を分泌します。鼻汁は、鼻から吸った空気に湿り気を与えたり、粘膜を保護するため、常に少しずつ分泌されています。また鼻汁にはリゾチーム(殺菌成分)が含まれ、気道の防御機構の一つとなっています。

かぜやアレルギーのときなどには、防御反応として大量に鼻汁が分泌されます。 

鼻腔

b) 咽頭 

役割・防御機能
扁桃へんとうによる細菌・ウイルスの侵入抑制

咽頭は鼻腔と口腔につながっていて、咽頭は消化管気道両方に属します。

咽頭の後壁には扁桃があり、粘膜表面が凸凹しています。扁桃はリンパ組織(白血球の一種であるリンパ球が密集する組織)が集まってできていて、気道に侵入してくる細菌、ウイルス等に対する免疫反応が行われます。 

咽頭は消化管にも呼吸器系どちらにも該当しますが、喉頭は呼吸器系です。咽頭と喉頭の文言を変更した文章がよく出題されています。

 

c) 喉頭、気管、気管支 

役割
声帯による発声(喉頭)

防御機能
線毛と粘液による異物除去

喉頭は、咽頭と気管の間にある軟骨に囲まれた円筒状の器官で、軟骨の突起した部分(喉頭隆起)がいわゆる「のどぼとけ」です。喉頭は、発声器としての役割もあり、呼気で喉頭上部にある声帯を振動させて声が発せられます。

喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管といい、そこから肺の中で複数に枝分かれする部分を気管支といいます。

喉頭の大部分と気管から気管支までの粘膜は線毛上皮で覆われており(肺にはありません)、異物は、気道粘膜から分泌される粘液にからめ取られ、線毛運動による粘液層の連続した流れによって気道内部から咽頭へ向けて排出され、唾液とともに嚥下えんげされます。 

嚥下とは、口の中の食物を胃にのみ下すことです。

 

d) 肺 

役割
肺胞での酸素二酸化酸素の交換

防御機能
肺胞マクロファージによる異物の消化

胸部の左右両側に1対あります。肺自体には肺を動かす筋組織がないため、自力で膨らんだり縮んだりするのではなく、横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮して呼吸運動が行われています。

肺の内部で気管支が細かく枝分かれし、末端はブドウの房のような構造となっています。その球状の袋部分を肺胞といいます。肺胞の壁は非常に薄くできていて、周囲を毛細血管が網のように取り囲んでいます。肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織を間質かんしつといいます。

肺胞の壁を介して、心臓から送られてくる血液から二酸化炭素が肺胞気中に拡散し、代わりに酸素が血液中の赤血球に取り込まれるガス交換が行われます。肺胞気中の二酸化炭素は、呼気に混じって排出されます。

異物や細菌が侵入してきたときには、肺胞表面を自在に移動できる肺胞マクロファージ(貪食細胞)がそれらを消化する防御機構が備わっています。

 

 

ポイントテスト1

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)

(1)喉頭の後壁にある扁桃はリンパ組織が集まってできていて、気道に侵入してくる細菌、ウイルス等に対する免疫反応が行われる。

(2)鼻汁にはリゾチームが含まれ、気道の防御機構の一つとなっている。

(3)肺胞の壁を介して、心臓から送られてくる血液から酸素が肺胞気中に拡散し、代わりに二酸化炭素が血液中の赤血球に取り込まれるガス交換が行われる。

(4)肺には肺を動かす筋組織があるため、自力で膨らんだり縮んだりすることによって、拡張・収縮して呼吸運動が行われている。

(5)肺胞は、異物や細菌が侵入してきたときのために粘液層や線毛によって保護されている。

 

 

回答と解説
ポイントテスト1
(1)×:喉頭ではなく、咽頭
(2)○
(3)×:酸素と二酸化炭素が逆
(4)×:肺は自ら膨らんだりでず、横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮する
(5)×:粘膜層や線毛ではなく、肺胞マクロファージ


今回のページは少し短めでしたね。呼吸器の問題は必ずといっていいほど1問はでます。

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