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3章:主な医薬品とその作用

第3章-20日目:Ⅺ 歯痛,歯槽膿漏, 口内炎

歯槽膿漏 口内炎

登録販売者試験の解説とポイントを過去問題にフォーカスして記載していきます。

厚生労働省の試験問題作成の手引きを基に分かり易い内容に変えて解説しています。

過去問題から作成したポイントテストもありますので、
是非解いて見てくださいね。

独学で学ばれている方も含め問題なく解けることが実感できるかと思います。

今回は第3章のⅩⅠ 歯痛、歯槽膿漏、口内炎 から続きをしていきます。

また第3章全体のポイントについては、第3章-1日目:Ⅰ-①:かぜ薬をご覧ください。

 

 

1 歯痛・歯槽膿漏しそうのうろう

1)代表的な配合成分、主な副作用

歯痛薬(外用)

歯痛は多くの場合、歯の齲蝕うしょく(むし歯)とそれに伴う歯髄炎によって起きます。

歯痛薬は、齲蝕による歯痛を応急的に鎮めることを目的とする一般用医薬品です。

(a) 局所麻酔成分
  • アミノ安息香酸エチル
  • ジブカイン塩酸塩
  • テーカイン

齲蝕により露出した歯髄を通っている知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮めます。

冷感刺激を与えて知覚神経を麻痺させることによる鎮痛鎮痒の効果を期待して、
メントール、カンフル、ハッカ油、ユーカリ油が配合されている場合もあります。

 

(b) 殺菌消毒成分
  • フェノール
  • 歯科用フェノールカンフル
  • オイゲノール
  • セチルピリジニウム塩化物

齲蝕を生じた部分の細菌繁殖を抑えます。

刺激があり、歯以外の口腔粘膜や唇に付着しないように注意が必要です。

 

(c) 生薬成分 
  • サンシシ

アカネ科のクチナシの果実を基原とする生薬で、抗炎症作用を示します。

 

 

歯槽膿漏薬しそうのうろう

歯肉の炎症が重症化して、歯周組織全体に広がると歯周炎(歯槽膿漏)となります。

歯槽膿漏薬は、歯肉炎、歯槽膿漏の諸症状(出血や膿 、歯肉の腫れ口臭など)の緩和を目的とする医薬品です。

外用薬のほか、内服薬(抗炎症成分、ビタミン成分など)もあり、併せて用いると効果的です。 

(a) 外用薬
① 殺菌消毒成分 
  • セチルピリジニウム塩化物
  • クロルヘキシジングルコン酸塩
  • イソプロピルメチルフェノール
  • チモール

歯肉溝での細菌の繁殖を抑えます。

クロルヘキシジングルコン酸塩が口腔内に適用される場合、まれに重篤な副作用としてショックを生じることがあります。

殺菌消毒作用のほか、抗炎症作用なども期待して、ヒノキチオール、チョウジ油が配合されることがあります。

 

② 抗炎症成分 
  • グリチルリチン酸二カリウム
  • グリチルレチン酸

歯周組織の炎症を和らげます。

上記成分のほか、ステロイド性抗炎症成分が配合される場合は、口腔内に適用されるため含有量によらず長期連用を避ける必要があります。

 

③ 止血成分 
  • カルバゾクロム

炎症を起こした歯周組織からの出血を抑えます。

 

④ 組織修復成分 
  • アラントイン

炎症を起こした歯周組織の修復を促します。

 

⑤ 生薬成分 
  • カミツレ
  • ラタニア
  • ミルラ

カミツレ

キク科のカミツレの頭花を基原とする生薬で、抗炎症、抗菌などの作用を期待して用いられる。

ラタニア

クラメリア科のクラメリア・トリアンドラ及びその同属植物の根を基原とする生薬で、咽頭粘膜をひきしめる作用により炎症の寛解を促す。

ミルラ

カンラン科のミルラノキ等の植物の皮部の傷口から流出して凝固した樹脂を基原とする生薬で、咽頭粘膜をひきしめる作用のほか、抗菌作用ある。

ラタニア、ミルラはうがい薬として使用されています。
詳しくは、第3章-6日目:Ⅱ-②口腔咽喉薬、含嗽薬を参照

 

(b) 内服薬
① 抗炎症成分 
  • グリチルリチン酸二カリウム

歯周組織の炎症を和らげます。

 

② 止血成分
  • カルバゾクロム
  • フィトナジオン(ビタミンK1)

炎症を起こした歯周組織からの出血を抑えるカルバゾクロムや血液の凝固機能を正常に保つ働きがあるフィトナジオンが配合されている場合があります。

 

③ 組織修復成分 
  • 銅クロロフィリンナトリウム

炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用のほか、歯肉炎に伴う口臭を抑えます。

 

④ ビタミン成分 
  • ビタミンC
    (アスコルビン酸)
  • ビタミンE
    (トコフェロールコハク酸エステル)

ビタミンC
(アスコルビン酸)

コラーゲン代謝を改善して歯周組織の修復を助けるほか、毛細血管を強化して腫れや出血を抑えます。


ビタミンE

(トコフェロールコハク酸エステル)

歯周組織の血行を促します。

 

ポイントテスト1

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)

(1)歯痛薬は、歯の齲蝕(むし歯)が修復されることにより歯痛を応急的に鎮めることを目的とする一般用医薬品である。

(2)セチルピリジニウム塩化物は、歯肉溝での細菌の繁殖を抑える殺菌消毒成分である。

(3)カミツレはクラメリア科のクラメリア・トリアンドラ及びその同属植物の根を基原とする生薬で、収斂作用を期待して用いられる。

(4)イソプロピルメチルフェノールは、炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える作用を期待して配合されている。

(5)銅クロロフィリンナトリウムは、炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用のほか、歯肉炎に伴う口臭を抑える効果も期待して配合されている場合がある。

 

 

回答と解説
ポイントテスト1
(1)×:齲蝕の修復はしない
(2)〇
(3)×:カミツレではなく、ラタニア。
(4)×:出血を抑える作用ではなく、殺菌消毒。
(5)〇

 

2)相互作用、受診勧奨

【相互作用】

外用薬の場合、口腔内を清浄にしてから使用することが重要です。

また、口腔咽喉薬、含嗽薬などを使用する場合には、十分な間隔を置くべきです。

内服の歯槽膿漏薬は、かぜ薬、胃腸薬などに同成分が用いられている場合があり、作用増強や副作用が現れやすくなります。

 

【受診勧奨】

歯の齲蝕による歯痛は歯痛薬の使用により一時的に和らげることができたとしても、根本的治療ではないため基本的に歯科診療が優先されます。

歯周病(歯肉炎・歯槽膿漏)は、状態が軽いうちは自己治療が可能とされ、日頃の歯磨きによって細菌の繁殖を抑えることが重要です。

 

ポイントテスト2

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)

(1)内服で用いる歯槽膿漏薬は、同じ又は同種の成分が配合されたかぜ薬、胃腸薬等が併用された場合、作用が弱くなるおそれがある。 

(2)歯周病は、状態が軽いうちは自己治療が可能とされるが、日頃の十分な歯磨き等によって歯肉溝での細菌の繁殖を抑えることが重要である。 

 

 

回答と解説
ポイントテスト2
(1)×:重複すると作用は強く、副作用も出やすい
(2)〇

 

2 口内炎用薬

口内炎用薬は、口内炎舌炎の緩和を目的として口腔内局所に適用される外用薬です。

口内炎や舌炎は、口腔の粘膜上皮に水疱潰瘍ができて痛み、ときに口臭を伴います。

口内炎の要因

  • 栄養摂取の偏り
  • ストレスや睡眠不足
  • 唾液分泌の低下
  • 口腔内の不衛生
  • 疱疹ウイルスの口腔内感染
  • 医薬品の副作用

 

1)代表的な配合成分、主な副作用 

(a) 抗炎症成分

  • グリチルリチン酸二カリウム
  • グリチルレチン酸

口腔粘膜の炎症を和らげます。

口腔粘膜の組織修復を促す作用を期待して、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)が配合されている場合もあります。

また、ステロイド性抗炎症成分が配合される場合は口腔内に適用されるため、含有量によらず長期連用を避ける必要があります。

 

(b) 殺菌消毒成分 

  • セチルピリジニウム塩化物
  • クロルヘキシジン塩酸塩
  • アクリノール
  • ポビドンヨード

患部からの細菌感染を防止します。

 

(c) 生薬成分 

  • シコン

ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬で、組織修復促進、抗菌などの作用を期待して用いられます。

 

漢方処方製剤(内服)

  • 茵蔯蒿湯いんちんこうとう

体力中等度以上で口渇があり、尿量少なく、便秘するものの蕁麻疹 、口内炎、湿疹 ・皮膚炎、皮膚のかゆみに適す。

構成生薬としてダイオウを含む。
まれに重篤な副作用として肝機能障害が起こることが知られている。 

ポイントテスト3

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)

(1)疱疹ウイルスの口腔内感染や医薬品の副作用により口内炎を生じることはない。

(2)シコンは、組織修復促進、抗菌などの作用を期待して用いられる。

(3)茵蔯蒿湯は、体力中等度以上で口渇があり、尿量少なく、便秘するものの蕁麻疹 、口内炎、湿疹 ・皮膚炎、皮膚のかゆみに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

(4)口腔粘膜の組織修復を促す作用を期待して、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン) が配合される場合がある。 

(5)患部からの細菌感染を防止することを目的として、クロルヘキシジン塩酸塩等の殺菌消毒成分が配合されている場合がある。

 

 

回答と解説
ポイントテスト3
(1)×:疱疹ウイルスや副作用により口内炎が発症する。
(2)〇
(3)〇
(4)〇
(5)〇

 

 

2)相互作用、受診勧奨

【相互作用】

口腔内を清浄にしてから使用することが重要であり、口腔咽喉薬、含嗽薬などを使用する場合には、十分な間隔を置くべきです。 

 

【受診勧奨】

口内炎や舌炎は、通常であれば1~2週間で自然寛解します。

食事に著しい支障を来すほどの状態であれば、医療機関を受診するなどの対応が必要です。 

また長期間症状が長引く場合には腫瘍の可能性や、再発を繰り返す場合にはベーチェット病などの可能性も考えられるので、医療機関を受診するなどの対応が必要です。 

ベーチェット病: 口腔粘膜の潰瘍を初期症状とする全身性の疾患

 

ポイントテスト4

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)

(1)口内炎は、通常であれば1~2週間で自然寛解するが、一度に複数箇所に発生して食事に著しい支障を来すほどの状態であれば、医療機関を受診するなどの対応が必要である。 

(2) 口内炎用薬は、口腔内を清浄にしてから使用することが重要であり、口腔咽喉薬、含嗽薬などの使用後、すぐに使用すると効果的である。

(3)口内炎や舌炎の再発を繰り返す場合には、偽アルドステロン症などの可能性も考えられるので、医療機関を受診するなどの対応が必要である。 

 

 

回答と解説
ポイントテスト4
(1)〇
(2)×:十分な間隔を置くべきである。
(3)×:偽アルドステロン症ではなく、ベーチェット病。

 

 

ページ内の薬剤一覧

歯痛
分類 成分名 作用
局所麻酔成分 アミノ安息香酸エチル 齲蝕により露出した知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮める
ジブカイン塩酸塩
テーカイン
殺菌消毒成分 フェノール 齲蝕を生じた細菌繁殖を抑える

・刺激性あり
・木クレオソートについては、局所麻酔作用もある 

歯科用フェノールカンフル
オイゲノール
セチルピリジニウム塩化物
生薬成分 サンシシ 抗炎症作用を示す
歯槽膿漏薬 しそうのうろう
外用薬 殺菌消毒成分  セチルピリジニウム塩化物 歯肉溝での細菌の繁殖を抑える

殺菌消毒、抗炎症を期待してヒノキチオール、チョウジ油が配合される場合がある。

クロルヘキシジングルコン酸塩
イソプロピルメチルフェノール
チモール
抗炎症成分  グリチルリチン酸二カリウム 炎症を和らげる
グリチルレチン酸
止血成分  カルバゾクロム 出血を抑える
組織修復成分    アラントイン 組織の修復を促す
生薬成分  カミツレ 抗炎症、抗菌作用
ラタニア 咽頭粘膜をひきしめる作用により
炎症の寛解
ミルラ 咽頭粘膜をひきしめる作用のほか、
抗菌作用
内服薬 抗炎症成分  グリチルリチン酸二カリウム 歯周組織の炎症を和らげる。
止血成分  フィトナジオン(ビタミンK1) 炎症を起こした歯周組織からの出血を抑える。
カルバゾクロム
組織修復成分  銅クロロフィリンナトリウム 組織修復、歯肉炎に伴う口臭防止
ビタミン成分  ビタミンC
(アスコルビン酸)
組織修復、毛細血管を強化して
腫れや出血を抑える
ビタミンE
(トコフェロールコハク酸エステル)
歯周組織の血行を促す
口内炎用薬
抗炎症成分 グリチルリチン酸二カリウム 口腔粘膜の炎症を和らげる
組織修復にアズレンスルホン酸ナトリウムが配合される場合がある
グリチルレチン酸
殺菌消毒成分 セチルピリジニウム塩化物 患部からの細菌感染を防止する
クロルヘキシジン塩酸塩
アクリノール
ポビドンヨード
生薬成分  シコン 組織修復促進、抗菌
漢方処方成分 茵蔯蒿湯いんちんこうとう 便秘するものの蕁麻疹 、口内炎
ダイオウ含有

今回は歯痛、歯槽膿漏、口内炎についてでした。茵蔯蒿湯って前にも出ましたよね?内服アレルギーのページです!確認しておきましょう。

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-3章:主な医薬品とその作用

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