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3章:主な医薬品とその作用

第3章-16日目:Ⅸ 眼科用薬

眼科用薬 点眼薬

登録販売者試験の解説とポイントを過去問題にフォーカスして記載していきます。

厚生労働省の試験問題作成の手引きを基に分かり易い内容に変えて解説しています。

過去問題から作成したポイントテストもありますので、
是非解いて見てくださいね。

独学で学ばれている方も含め問題なく解けることが実感できるかと思います。

今回は第3章の Ⅵ 眼科用薬 から続きをしていきます。毎年1~2問は出題されていますので、確実に取りにいきましょう。

また第3章全体のポイントについては、第3章-1日目:Ⅰ-①:かぜ薬をご覧ください。

 

Ⅸ 眼科用薬

1)眼科用薬概要

眼科用薬は目の疲れやかすみ、痒みの緩和を目的とし眼科用薬は結膜嚢けつまくのうに適用する外用薬(点眼薬洗眼薬コンタクトレンズ装着液)です。

結膜嚢:結膜で覆われた眼瞼がんけん(まぶた)の内側と眼球の間の空間

一定の基準に当てはまるコンタクトレンズ装着液は、医薬部外品として認められています。

 

一般用医薬品の点眼薬の分類

人工涙液:

涙液成分を補い、目の疲れや乾き、コンタクトレンズ装着時の不快感に用いられます

一般点眼薬:

目の疲れや痒み、結膜充血の症状を抑えます。

抗菌性点眼薬:

抗菌成分が配合され、結膜炎(はやり目)やものもらい(麦粒腫)、眼瞼炎(まぶたのただれ)に用いられます。

アレルギー用点眼薬:

アレルゲンによる目のアレルギー症状(流涙、目の痒み、結膜充血等)の緩和に用いられます。
抗ヒスタミン成分抗アレルギー成分が配合されています。

洗眼薬:

目の洗浄、眼病予防に用いられるもので、涙液成分のほか、抗炎症成分、抗ヒスタミン成分などが配合されています。

【点眼薬における一般的な注意】  

① 点眼方法 

点眼薬は、通常、無菌的に製造されています。

点眼の際に容器の先端が眼瞼がんけん(まぶた)や睫毛しょうもう(まつげ)に触れると、雑菌が混入するため、触れないように注意しながら1滴点眼します。

1滴の薬液の量は約50μL であるのに対して、結膜嚢の容積は30μL 程度とされており、1滴で十分です。

一度に何滴も点眼しても効果が増さず、むしろ薬液が鼻腔内へ流れ込み、鼻粘膜や喉から吸収されることで副作用を起こしやすくなります。

点眼後は、しばらく眼瞼を閉じて、薬液を行き渡らせます。
その際、目頭を押さえると、薬液が鼻腔内へ流れ込むのを防ぐことができ、効果的とされます。

 

② 保管および取扱い上の注意 

別の人が使用している点眼薬は、中身が汚染されている可能性があり、共用は避ける必要があります。

また点眼薬の容器に記載されている使用期限は、未開封の状態におけるものであり、開封後長期間経過した製品は、使用を避けるべきです。

 

③ コンタクトレンズ使用時の点眼法 

コンタクトレンズをしたままでの点眼は、添付文書に使用可能と記載されてない限り行うべきでありません。
通常、ソフトコンタクトレンズは水分を含みやすく、防腐剤などの配合成分がレンズに吸着され、角膜に障害を引き起こすおそれがあるため、装着したままの点眼は避ける必要があります。
ただし、1回使い切りタイプとして防腐剤を含まない製品では、ソフトコンタクトレンズ装着時にも使用できる点眼薬があります。

 

【眼科用薬に共通する主な副作用】

局所性の副作用として、目の充血や痒み、腫れがあらわれることがあります。

全身性の副作用としては、皮膚に発疹 、発赤、痒みなどが現れることがあります。

 

【相互作用】

医師から処方された点眼薬を使用している場合には、一般用医薬品の点眼薬を併用すると、治療中の疾患に悪影響を生じることがあります。

 

【受診勧奨】

一般用医薬品の点眼薬は、緑内障の症状を改善できるものはなく、成分によっては、緑内障の悪化につながるおそれがあります。 

また、目の痛みが激しい場合には、急性緑内障、角膜潰瘍、眼球への外傷等の可能性があり、その場合、専門家への受診が必要です。

目の症状には、視力の異常、目の外観の変化、目の感覚の変化等があり、目以外にが原因であることも多いです。

ポイントテスト1

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)

(1)一般用医薬品の点眼薬には、緑内障の症状を改善できるものがある。

(2)人工涙液は、目の疲れや痒み、結膜充血等の症状を抑える成分が配合されているものである。

(3)コンタクトレンズをしたままでの点眼は、添付文書に使用可能と記載されていない限り行うべきでない。 

(4)点眼薬は、結膜嚢に適用するものであるため、通常、無菌的に製造されている。

(5)点眼薬は、一度に何滴も点眼しても効果が増すわけではなく、むしろ鼻粘膜や喉から吸収されて、副作用を起こしやすくなる。

 

 

回答と解説
ポイントテスト1
(1)×:一般用医薬品で緑内障の症状を改善できるものはない。
(2)×:痒み、結膜充血には効かない。
(3)〇
(4)〇
(5)〇

 

 

2)目の調節機能を改善する配合成分 

コリンエステラーゼ阻害成分

  • ネオスチグミンメチル硫酸塩

アセチルコリンを分解する酵素(コリンエステラーゼ)を阻害し、毛様体におけるアセチルコリンの働きを助けることで、目の調節機能を改善します。

自律神経系の伝達物質であるアセチルコリンは、水晶体の周りの毛様体に作用して、目の調節機能に関与しています。目を酷使すると、目の調節機能が低下し、目の疲れやかすみといった症状を生じます。

 

3)目の充血、炎症を抑える配合成分

(a) アドレナリン作動成分 

  • ナファゾリン塩酸塩
  • ナファゾリン硝酸塩
  • エフェドリン塩酸塩
  • テトラヒドロゾリン塩酸塩

結膜を通っている血管を収縮させて目の充血を除去します

使用時の注意点
  • 緑内障と診断された人では、眼圧の上昇を招き、緑内障が悪化する可能性があるため、使用前に医師等へ相談が必要。
  • 連用または頻回に使用すると、異常なまぶしさを感じたり、かえって充血を招くことがある。

 

(b) 抗炎症成分 

  • グリチルリチン酸二カリウム
  • ベルベリン硫酸塩
  • イプシロン-アミノカプロン酸
  • プラノプロフェン
① グリチルリチン酸二カリウム 、ベルベリン硫酸塩

比較的緩和な抗炎症作用を示します。

 

② イプシロン-アミノカプロン酸 

炎症の原因となる物質の生成を抑えます。

 

③ プラノプロフェン 

ステロイド性抗炎症成分であり、炎症の原因となるプロスタグランジンの生成を抑制し、炎症を抑えます。

 

(c) 組織修復成分 

  • アズレンスルホン酸ナトリウム
  • アラントイン

炎症を生じた眼粘膜の組織修復を促します。

 

(d) 収斂成分

  • 硫酸亜鉛水和物

眼粘膜のタンパク質と結合して皮膜を形成し、外部の刺激から保護します。

 

3)目の乾きを改善する配合成分 

  • コンドロイチン硫酸ナトリウム
  • 精製ヒアルロン酸ナトリウム
  • ヒドロキシプロピルメチルセルロース
  • ポリビニルアルコール

角膜の乾燥を防ぎます。

 

4)目の痒みを抑える配合成分 

(a) 抗ヒスタミン成分

  • ジフェンヒドラミン塩酸塩
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩
  • ケトチフェンフマル酸塩

アレルギーや結膜に炎症を生じた場合、眼粘膜が刺激に対して敏感になり肥満細胞からヒスタミンが遊離して痒みの症状を生じやすくなります。 
抗ヒスタミン成分はヒスタミンの働きを抑えることにより、目の痒みを和らげます。

鼻炎用点鼻薬と併用した場合には、眠気が現れることがあります。

 

(b) 抗アレルギー成分 

  • クロモグリク酸ナトリウム

肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑える作用を示し、目のアレルギー症状を緩和します。

通常、抗ヒスタミン成分と組み合わせて配合されます。

アレルギー性でない結膜炎などに対しては無効です。

また、まれに重篤な副作用として、アナフィラキシーを生じることがあります。

 

5)抗菌作用を有する配合成分 

(a) サルファ剤 

  • スルフメトキサゾール
  • スルファメトキサゾールナトリウム

細菌感染による結膜炎やものもらい、眼瞼炎などの化膿性の症状の改善します。

すべての細菌に効果があるわけではなく、またウイルス真菌の感染に対する効果はないので、3~4日使用しても症状の改善がみられない場合には、眼科専門医の受診が必要です。

 

(b) ホウ酸

洗眼薬として用時水に溶解し、結膜嚢の洗浄・消毒に用いられます。また点眼薬の添加物(防腐剤)として配合されていることもあります。

 

6)その他の配合成分(無機塩類、ビタミン類、アミノ酸)と配合目的 

(a) 無機塩類 

  • 塩化カリウム
  • 塩化カルシウム
  • 塩化ナトリウム
  • 硫酸マグネシウム
  • リン酸水素ナトリウム
  • リン酸二水素カリウム

涙液の主成分はナトリウムやカリウムなどの電解質であるため、配合成分として用いられます。 

覚えるのは電解質の部分のみで大丈夫です。

 

(b) ビタミン成分 

  • ビタミンA
    (パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールなど)
  • ビタミンB2
    (フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムなど)
  • パンテノール、パントテン酸カルシウム
  • ビタミンB6
    (ピリドキシン塩酸塩など)
  • ビタミンB12
    (シアノコバラミン)
  • ビタミンE
    (トコフェロール酢酸エステルなど)
① ビタミンA
(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールなど) 

視細胞が光を感受する反応に関与し、視力調整等の反応を改善します。

 

② ビタミンB2
フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムなど) 

リボフラビンの活性体であるフラビンアデニンジヌクレオチドは、角膜の酸素消費能を増加させ組織呼吸亢進し、ビタミンB2欠乏による角膜炎を改善します。

 

③ パンテノール、パントテン酸カルシウム

自律神経系の伝達物質の産生に重要な成分であり、目の調節機能の回復を促します。

 

④ ビタミンB6
ピリドキシン塩酸塩など)

アミノ酸の代謝や神経伝達物質の合成に関与し、目の疲れ等の症状を改善します。

 

⑤ ビタミンB12
(シアノコバラミン) 

目の調節機能を助けます。

 

⑥ ビタミンE
トコフェロール酢酸エステル等) 

末梢の微小循環を促進させ、結膜充血、疲れ目などの症状を改善します。

 

(c) アミノ酸成分 

  • アスパラギン酸カリウム
  • アスパラギン酸マグネシウム

新陳代謝を促し、目の疲れを改善する効果があります。

 

ポイントテスト2

下記問題を正誤で答えよ(回答は下)

(1)テトラヒドロゾリン塩酸塩が配合された点眼薬を連用又は頻回に使用すると、異常なまぶしさを感じたり、かえって充血を招くことがある。

(2)イプシロン-アミノカプロン酸は、抗菌作用を有し、細菌感染(ブドウ球菌や連鎖球菌) による結膜炎やものもらい(麦粒腫)、眼瞼炎などの化膿性の症状の改善を目的として用いられる。 

(3)コンドロイチン硫酸ナトリウムは、角膜の乾燥を防ぐことを目的として用いられることがある。

(4)ネオスチグミンメチル硫酸塩は、コリンエステラーゼの働きを助ける作用を示し、毛様体におけるアセチルコリンの働きを抑えることで、目の調節機能の改善を目的として用いられる。

(5)プラノプロフェンは、ステロイド性抗炎症成分であり、炎症の原因となる物質の生成を抑える作用を示し、目の炎症を改善する効果を期待して用いられる。 

 

 

回答と解説
ポイントテスト2
(1)〇
(2)×:イプシロン-アミノカプロン酸は抗炎症成分。
(3)〇
(4)×:コリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンの働きを助ける。
(5)×:ステロイド性ではなく、ステロイド性。

 

 

ページ内の薬剤一覧

眼科用薬
分類 成分名 作用
調節機能改善 コリンエステラーゼ阻害成分 ネオスチグミンメチル硫酸塩 アセチルコリンの働きを助け、目の調節機能を改善する
充血、炎症改善 アドレナリン作動成分  ナファゾリン塩酸塩 血管を収縮させて目の充血を除去する

連用又は頻回に使用すると、異常なまぶしさを感じたり、かえって充血を招くことがある

ナファゾリン硝酸塩
エフェドリン塩酸塩
テトラヒドロゾリン塩酸塩
抗炎症成分 グリチルリチン酸二カリウム 比較的緩和な抗炎症作用を示す
ベルベリン硫酸塩
イプシロン-アミノカプロン酸  炎症の原因となる物質の生成を抑える
プラノプロフェン  非ステロイド性抗炎症成分
プロスタグランジンの生成を抑制し、炎症を抑える
組織修復成分  アズレンスルホン酸ナトリウム、 炎症を生じた眼粘膜の組織修復を促す
アラントイン
収斂成分 硫酸亜鉛水和物 タンパク質と結合して皮膜を形成し、外部の刺激から保護する
乾燥改善 コンドロイチン硫酸ナトリウム 結膜や角膜の乾燥を防ぐ
ヒアルロン酸ナトリウムは、添加物として、コンドロイチン硫酸ナトリウムと結合し、粘稠性を高める
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
ポリビニルアルコール
痒み改善 抗ヒスタミン成分 ジフェンヒドラミン塩酸塩 ヒスタミンの働きを抑えることにより、目の痒みを和らげる
クロルフェニラミンマレイン酸塩
ケトチフェンフマル酸塩
抗アレルギー成分  クロモグリク酸ナトリウム 肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑える
抗菌作用 サルファ剤  スルファメトキサゾール 細菌感染による結膜炎やものもらい、眼瞼炎などの化膿性の症状の改善する
ウイルスや真菌の感染に対する効果はない
スルファメトキサゾールナトリウム
  ホウ酸  洗眼薬として用時水に溶解し、結膜嚢の洗浄・消毒
その他 無機塩類  塩化カリウム 涙液の主成分はナトリウムやカリウム等の電解質の補充
塩化カルシウム
塩化ナトリウム
硫酸マグネシウム
リン酸水素ナトリウム
リン酸二水素カリウム
ビタミン成分  ビタミンA
(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等)
視細胞が光を感受する反応に関与し、視力調整等の反応を改善する。
ビタミンB2
(フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム等) 
角膜の酸素消費能を増加させ組織呼吸を亢進
ビタミンB2欠乏による角膜炎を改善する。
パンテノール、パントテン酸カルシウム 自律神経系の伝達物質の産生に重要な成分であり、目の調節機能の回復を促す。
ビタミンB6
(ピリドキシン塩酸塩等)
アミノ酸の代謝や神経伝達物質の合成に関与し、目の疲れ等の症状を改善する。
ビタミンB12
(シアノコバラミン) 
目の調節機能を助ける。
ビタミンE
(トコフェロール酢酸エステル等) 
末梢の微小循環を促進させ、結膜充血、疲れ目等の症状を改善する。
アミノ酸成分  アスパラギン酸カリウム
アスパラギン酸マグネシウム
新陳代謝を促し、目の疲れを改善する効果がある。

今回は眼科用薬についてでした。医薬品が多く登場しますが、まずは読み流す形で結構です。大枠を掴んでいきましょう。お疲れさまでした。

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