登録販売者試験の解説とポイントを過去問題にフォーカスして記載していきます。
厚生労働省の試験問題作成の手引きを基に分かり易い内容に変えて解説しています。
実際の過去問題から作成したポイントテストもありますので、
是非解いて見てくださいね。
独学で学ばれている方も含め問題なく解けることが実感できるかと思います。
また第2章全体のポイントについては、第2章-1日目:Ⅰ-①:消化器系をご覧ください。
Ⅲ 症状からみた主な副作用
医薬品は、適正に使用された場合でも、副作用を生じることがあります。
一般に、重篤な副作用は発生頻度が低いですが、副作用の早期発見・早期対応のため、十分な知識を身に付けることが重要です。
厚生労働省では「重篤副作用総合対策事業」の一環として、関係学会の専門家等の協力を得て、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」を作成し、公表しています。
本マニュアルが対象とする重篤副作用疾患の中には、一般用医薬品によって発生する副作用も含まれており、情報提供や相談対応に、本マニュアルを積極的に活用することが望ましいです。
1 全身的に現れる副作用
1)ショック(アナフィラキシー)
生体異物に対する即時型のアレルギー反応の一種です。
以前にその医薬品によって蕁麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人で起きる可能性が高いです。
発症後の進行が非常に速やかな(通常、2時間以内に急変)ことが特徴であり、死に至ることがあります。
主な症状・病態
上半身の紅潮・熱感、痒み、吐きけ、顔面蒼白など、複数の症状が発現
2)重篤な皮膚粘膜障害
(a) 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)
最初に報告をした二人の医師の名前にちなんでスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)とも呼ばれます。
発生頻度は、人口100万人当たり年間1~6人と報告されています。
主な症状・病態
38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる
(b) 中毒性表皮壊死融解症(TEN)
最初に報告をした医師の名前にちなんでライエル症候群とも呼ばれます。
発生頻度は、人口100万人当たり年間0.4~1.2人と報告されています。
中毒性表皮壊死融解症の症例の多くが皮膚粘膜眼症候群の進展型とみられています。
主な症状・病態
38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、口唇の発赤・びらん、眼の充血等の症状を伴う
皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症の共通事項
- 発症機序の詳細は不明であり、発症の予測は困難
- 発生は非常にまれであるとはいえ、一旦発症すると多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがある。
- 皮膚症状が軽快した後も、眼や呼吸器等に障害が残ることがある。
- 特に、両眼に現れる急性結膜炎は、皮膚や粘膜の変化とほぼ同時期又は半日~1日程度先行して生じるため、症状が現れたときは、前兆である可能性を疑うことが重要。
- 原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いですが、1ヶ月以上経ってから起こることもある。
3)肝機能障害
医薬品により生じる肝機能障害は、有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性が原因の中毒性のものと、抗原抗体反応が原因で起きるアレルギー性のものに大別されます。
軽度の肝機能障害の場合、自覚症状がなく、健康診断等の血液検査(肝機能検査値の悪化)で初めて判明することが多いです。原因医薬品を使用し続けると、不可逆的な病変(肝不全)を生じ、死に至ることもあります。
主な症状
全身の倦怠感、黄疸のほか、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけ等
黄疸とは、ビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じ、皮膚や白眼が黄色くなる病態です。また、過剰となった血液中のビリルビンが尿中に排出されることにより、尿の色が濃くなることもあります。
4)偽アルドステロン症
体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる病態です。副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらずこのような状態となることから、偽アルドステロン症と呼ばれています。
低身長、低体重など対表面積が小さい人や高齢者で生じやすく、原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合もあります。
主な症状
手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、むくみ(浮腫)など
5)病気等に対する抵抗力の低下等
医薬品の使用により、血液中の白血球(好中球)が減少し細菌やウイルスの感染に対する抵抗力が弱くなり、次の症状を呈することがあります。
主な症状
突然の高熱、悪寒、喉の痛み、口内炎、倦怠感等の症状
その他血小板が減少し、鼻血、歯ぐきからの出血、手足の青あざ(紫斑)等の症状が現れることがあります。
初期においては、かぜ等の症状と見分けることが難しく、進行すると重症の細菌感染を繰り返し、致命的となることもあります。
このような易感染性をもたらすものとして、ステロイド性抗炎症薬や抗癌薬が知られています。
ポイントテスト1
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1) 皮膚粘膜眼症候群は、38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態である。
(2)中毒性表皮壊死融解症は、最初に報告した二人の医師の名前にちなんでスティーブンス・ジョンソン症候群とも呼ばれており、その発生頻度は人口100万人当たり年間1 ~6人と報告されている。
(3)皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症は、いずれも発症機序の詳細が明確にされており、発症を予測することが可能となっている。
(4)偽アルドステロン症は副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加することにより生じる。
(5) 肝機能障害の主な症状である黄疸は、ビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排泄されることにより生じる。
回答と解説
ポイントテスト1
(1)○
(2)×:中毒性表皮壊死融解症ではなく、皮膚粘膜眼症候群。
(3)×:どちらも発生機序不明で予測困難。
(4)×:アルドステロンが増加していないのに、増加と同様の症状が発現。
(5)×:ビリルビンが胆汁中へ排出されず血液中に滞留することで生じる。
2 精神神経系に現れる副作用
1)精神神経障害
医薬品の副作用により中枢神経系が影響を受け、精神神経症状を生じることがあります。これは通常の用法・用量でも発生することがあります。
主な症状
物事に集中できない、落ち着きがなくなる等のほか、不眠、不安、震え(振戦)、興奮、眠気、うつなど
2)無菌性髄膜炎
髄膜炎のうち、髄液に細菌・真菌が検出されないものを指します。大部分はウイルス性ですが、医薬品の副作用が原因の場合、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ等の基礎疾患がある人では発症リスクが高くなります。
発症は急性ですが、早期に原因医薬品の使用を中止すれば、速やかに回復し、予後は比較的良好であることがほとんどです。
稀に重篤な中枢神経系の後遺症が残った例も報告されています。
主な症状
首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁等
3)頭痛,めまい,浮動感など
心臓や血管に作用する医薬品により、頭痛やめまい、浮動感、不安定感(体がぐらぐらする感じ)等が生じることがあります。
ポイントテスト2
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)精神神経障害では、中枢神経系が影響を受け、物事に集中できない、不眠、不安、震え、興奮、うつ等の精神神経症状を生じることがある。
(2)無菌性髄膜炎は、早期に原因医薬品の使用を中止すれば、速やかに回復し、予後は比較的良好であることがほとんどであり、重篤な後遺症が残った例はない。
(3)無菌性髄膜炎は、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ等の基礎疾患がある人で発症リスクが高い。
(4)無菌性髄膜炎は、多くの場合、発症は急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐き気、嘔吐、意識混濁等の症状が現れる。
回答と解説
ポイントテスト2
(1)○
(2)×:重篤な後遺症が残った例がある。
(3)○
(4)○
3 消化器系に現れる副作用
1)消化性潰瘍
胃や十二指腸の粘膜組織が傷害され、粘膜組織の一部が粘膜筋板を超えて欠損する状態です。自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状の検査時や突然の吐血・下血によって発見されることもあります。医薬品の副作用により生じることも多いです。
主な症状
胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐きけ、胃痛、空腹時にみぞおちが痛み、消化管出血により便が黒くなるなど
2) イレウス様症状(腸閉塞様症状)
イレウスとは腸内容物の通過が阻害された状態です。医薬品の作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられ、症状が現れます。
腹痛などの症状のために水分や食物の摂取が抑制され、嘔吐がない場合でも脱水状態となることがあり、悪化すると腸内用物の逆流による嘔吐が原因で脱水症状を呈します。 小児や高齢者のほか、普段から便秘傾向のある人は、発症のリスクが高いです。
主な症状
激しい腹痛やガス排出(おなら)の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘
3) 吐き気,食欲不振など
消化器に対する医薬品の副作用によって、吐きけ・嘔吐、食欲不振、腹部(胃部)不快感、腹部(胃部)膨満感、腹痛、口内炎、口腔内の荒れや刺激感などを生じることがあります。浣腸剤や坐剤の使用によって現れる一過性の症状に、肛門部の熱感等の刺激、不快感、排便直後の立ちくらみなどがあります。
ポイントテスト3
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)消化性潰瘍では、消化管出血に伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れる。
(2)イレウス様症状は、医薬品の作用によって腸管運動が亢進した状態で、激しい腹痛、嘔吐、軟便や下痢が現れる。
(3)浣腸剤や坐剤の使用では、消化器系の副作用は現れない。
(4)イレウス様症状は、普段から下痢傾向がある人において発症のリスクが高い。
(5)イレウス様症状が悪化すると、腸内容物の逆流による嘔吐が原因で脱水症状を呈することがある。
回答と解説
ポイントテスト3
(1)○:血が便に混じって黒くなる。
(2)×:腸管運動が低下することで、便秘が現れる。
(3)×:不快感や立ちくらみなどがある。
(4)×:下痢傾向ではなく、便秘傾向。
(5)○
4 呼吸器系に現れる副作用
1) 間質性肺炎
肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたものです。
通常の肺炎は気管支・肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものです。
医薬品の使用開始から1~2週間程度で起きることが多く、悪化すると肺線維症(肺が線維化を起こして硬くなる状態)に移行することがあります。
主な症状
酸素を十分取り込むことができず、体内が低酸素状態となるため、呼吸困難、空咳(痰の出ない咳)、発熱(発熱は必ず伴うものではない)などの症状を呈する。
2) 喘息
原因となる医薬品(非ステロイド性抗炎症成分を含む解熱鎮痛薬など)の使用後、短時間(1時間以内)のうちに生じます。
内服薬のほか、坐薬や外用薬でも誘発されることがあります。
合併症を起こさない限り、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失すれば症状は寛解しますが、重症な場合、窒息による意識消失から死に至る危険もあります。鼻の疾患を合併している人や、成人になってから喘息を発症した人で発症しやすく、医薬品で喘息発作を起こしたことがある人は重症化しやすいです。
主な症状
鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴(息をするとき喉がゼーゼー又はヒューヒュー鳴る)及び呼吸困難を発現
ポイントテスト4
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)間質性肺炎は、症状が一過性に現れ、自然と回復することもあるが、悪化すると肺線維症に移行することがある。
(2)間質性肺炎は、医薬品の使用開始から1~2週間程度で起きることが多く、必ずしも発熱は伴わない。
(3)喘息は、原因となる医薬品の使用後、短時間(1時間以内)のうちに鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴及び呼吸困難を生じる。
(4)喘息は、合併症の有無にかかわらず、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失しても症状は寛解しない。
(5) 過去に医薬品で喘息発作を起こしたことがある人は、 副作用の喘息が重症化しやすいため、 同種の医薬品の使用を避ける必要がある。
回答と解説
ポイントテスト4
(1)○
(2)○
(3)○
(4)×:合併症がなければ寛解する
(5)○
5 循環器系に現れる副作用
1) うっ血性心不全
血液を心臓から送り出すことができなくなり、肺に血液が貯留することで症状が現れます。
主な症状
息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳とピンク色の痰など
2) 不整脈
心筋の自動性や興奮伝導の異常が原因で心臓の拍動リズムが乱れる病態です。
不整脈の種類によっては失神を伴うことがあります。生死に関わる重篤な際は、自動体外式除細動器(AED)の使用を考慮し、救急搬送が必要です。高齢者などでみられる代謝機能の低下により、不整脈の発症リスクが高まることがあります。腎機能・肝機能の低下、併用薬との相互作用などに留意が必要です。
主な症状
めまい、立ちくらみ、全身のだるさ(疲労感)、動悸、息切れ、胸部の不快感、脈の欠落など
ポイントテスト5
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1) うっ血性心不全とは、全身が必要とする量の血液を心臓から送り出すことができなくなり、肺に血液が貯留して、種々の症状を示す疾患である。
(2)医薬品を適正に使用すれば、動悸(心悸亢進)や一過性の血圧上昇、顔のほてりを生じることはない。
(3) 不整脈の種類によっては失神(意識消失)を起こすこともある。
(4)不整脈は、代謝機能の低下によってその発症リスクが高まることがあるので、腎機能や肝機能の低下、併用薬との相互作用等に留意するべきである。
回答と解説
ポイントテスト5
(1)○
(2)×:適正使用でも起こり得る。
(3)○
(4)○:代謝が低下して血中濃度が上昇することで、副作用の危険性が上がる。
6 泌尿器系に現れる副作用
1) 腎障害
尿量の減少、ほとんど尿が出ない、逆に一時的に尿が増える、むくみ(浮腫)、 倦怠感、発疹、吐きけ、尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)等の症状が現れることがあります。
2)排尿困難、尿閉
副交感神経系を抑制(つまり交感神経系優位)する医薬品を使用すると、膀胱の排尿筋の収縮が抑制され、尿が出にくい、残尿感がある等の症状を生じることがあります。進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなったり(尿閉)、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになります。
男性に限らず女性においても報告されています。
排尿の生理機能については、第2章-Ⅰ-④:泌尿器系のC) 尿路(膀胱、尿道)を参照
3)膀胱炎様症状
尿の回数増加(頻尿)、排尿時の疼痛、残尿感等の症状が現れます。
ポイントテスト6
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)腎障害では、むくみ(浮腫)、倦怠感、尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)等の症状が現れる。
(2)交感神経系の機能を抑制する作用がある成分が配合された医薬品を使用すると、膀胱の排尿筋の収縮が抑制され、尿が出にくい、尿が少ししか出ない等の排尿困難の症状を生じることがある。
(3)排尿困難が進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなったり(尿閉)、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになるが、これらは男性特有の症状である。
(4)膀胱炎様症状では、尿の回数増加(頻尿)、排尿時の疼痛、残尿感等の症状が現れる。
回答と解説
(1)○
(2)×:交感神経ではなく、副交感神経。
(3)×:男に限らず、女性にも生じる。
(4)○
7 感覚器系に現れる副作用
1) 眼圧上昇
眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている眼房水が排出されにくくなると、眼圧が上昇して視覚障害を生じることがあります。
抗コリン作用の医薬品(例:ブチルスコポラミン臭化物)によって眼圧が上昇し急性緑内障発作、充血、急激な視力低下を来すことがあります。
特に眼房水の出口である隅角が狭くなっている閉塞隅角緑内障がある人では注意が必要で、眼圧の上昇に伴って、頭痛や吐きけ・嘔吐等の症状が現れることもあり、不可逆的な視覚障害に至ることもあります。
2)異常な眩しさ,目のかすみなど
医薬品によっては、瞳の拡大(散瞳)による異常な眩しさや目のかすみ等の副作用が現れることがあります。
ポイントテスト7
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている眼房水が排出されにくくなると、眼圧が上昇して視覚障害を生じることがある。
(2)眼圧の上昇に伴って、頭痛や吐きけ・嘔吐等の症状が現れることがある。
(3)抗アドレナリン作用がある成分が配合された医薬品の使用によって眼圧が上昇し(急性緑内障発作)、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがある。
(4)瞳の拡大(散瞳)を生じる可能性のある成分が配合された医薬品を使用した後は、乗物や機械類の運転操作は避ける必要がある。
回答と解説
ポイントテスト7
(1)○
(2)○
(3)×:抗アドレナリン作用ではなく、抗コリン作用。
(4)○:異常な眩しさ,目のかすみ等を生じることがあるため。
8 皮膚に現れる副作用
1) 接触皮膚炎、光線過敏症
化学物質や金属等に皮膚が反応して、強い痒みを伴う発疹・発赤、腫れ、水疱等の激しい炎症症状(接触皮膚炎)や、色素沈着、白斑等を生じることがあります。一般に「かぶれ」と呼ばれ、外用薬の副作用で生じることもあります。
接触皮膚炎:
発症するか否かは体質によって異なります。原因となる医薬品と接触してから発症するまでの時間はさまざまですが、接触皮膚炎は医薬品が触れた皮膚の部分のみに生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴です。使用中止し、通常は1週間程度で症状は治まりますが、再びその医薬品に触れると再発します。
アレルギー性皮膚炎の場合は、発症部位は医薬品の接触部位に限定されません。
光線過敏症:
太陽光線(紫外線)に曝されて起こるかぶれ症状です。その症状は医薬品が触れた部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合があります。貼付剤の場合は剥がした後でも発症することがあります。
光線過敏症が現れた場合は、医薬品の使用を中止し、皮膚に医薬品が残らないよう十分に患部を洗浄し、遮光(白い生地や薄手の服は不可)して速やかに医師の診療を受ける必要があります。
2) 薬疹
アレルギー反応の一種で、あらゆる医薬品で起きる可能性があり、同じ医薬品でも生じる発疹の型は人によってさまざまです。赤い大小の斑点(紅斑)、小さく盛り上がった湿疹 (丘疹)のほか、水疱を生じることもあります。
蕁麻疹は強い痒みを伴いますが、それ以外の場合は痒みがないか、わずかなことが多く、眼の充血や口唇・口腔粘膜に異常が見られることもあります。特に、発熱を伴って眼や口腔粘膜に異常が現れた場合は、皮膚粘膜眼症候群や、中毒性表皮壊死融解症等の重篤な病態へ進行することがあるので、注意が必要です。
薬疹は医薬品の使用後1~2週間で起きることが多いですが、長期使用後に現れることもあります。アレルギー体質の人や以前に薬疹を起こしたことがある人に生じやすいですが、暴飲暴食や肉体疲労が誘因となることもあります。
多くの場合、原因となる医薬品の使用を中止すれば、症状は次第に寛解します。
3)痛み,刺激感など
外用薬の適用部位に生じる副作用として、痛み、焼灼感、熱感、乾燥感などの刺激感、腫れなどがあります。 また外用薬には、感染を起こしている患部には使用を避けることとされているものがありますが、感染の初期段階に気付かずに使用して、みずむし等の白癬症、にきび、化膿症状、持続的な刺激感等を起こす場合があるので注意が必要です。
ポイントテスト8
下記問題を正誤で答えよ(回答は下)
(1)薬疹は限られた少数の医薬品でのみ起きる可能性があり、同じ医薬品でも生じる発疹の型は人によって様々である。赤い大小の斑点(紅斑)、小さく盛り上がった湿疹(丘疹)のほか、水疱を生じることもある。
(2)蕁麻疹は強い痒みを伴うが、それ以外の薬疹の場合は痒みがないか、たとえあったとしてもわずかなことが多い。皮膚以外に、眼の充血や口唇・口腔粘膜に異常が見られることもある。
(3)薬疹はアレルギー体質の人や以前に薬疹を起こしたことがある人で生じやすいが、それまで薬疹を経験したことがない人であっても、暴飲暴食や肉体疲労が誘因となって現れることがある。
(4)接触性皮膚炎は、医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じる。
(5)光線過敏症は、医薬品が触れた部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合がある。
回答と解説
ポイントテスト8
(1)×:あらゆる医薬品で起こり得る。
(2)○
(3)○
(4)○
(5)○